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□背中の傷痕
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※性的な表現があります。ご注意※




『背中の傷痕』



朝、目が覚めたらあいつの大きな背中が目の前にあった

背中に爪の痕
それは、
俺が夢中でつけた爪痕

その爪の痕をそっと指でなぞる

こんなに痕がつく程…俺は…。


「ん…?」

「あ、わり…起こしちまったか…」

くるりと体勢をこちらに向けていつもの笑顔

「おはよう、アキラちゃん」

「お、おう…」

「アキラちゃん…」

「ん?」

「ゆうべ、かわいかったよ♪」

「……いっ!!?!!?」


迂闊だった
まさかこんな事になるなんて…

話は12時間前に遡る。


************

「アキラちゃん、今日誰もいないんだ…うちに泊まりに来ない?」

「ん…別にいーけどよ…」


前川は会う度に俺に好きだと告白してきた
男同士だしからかわれているんだと思って軽く流していた
悪いやつじゃねーし、普通にダチでいる分、なんの問題はなかった

つまり、俺には警戒心がなかった

前川の家について、いざ寝るって時に前川の告白が本気なんだと知った時には…遅かった


「お、おい…なんでベッドに枕がふたつあるんだよ…」

「アキラちゃんがいつ来てもいいように買っておいたんだ〜♪」

「おっ…俺、どっかその辺に寝る!枕だけよこせ…!」

そう言うと前川の目が変わった
俺をベッドに押し倒して、熱く見つめる


「じゃあなんで来たの?」

「は?」

「俺は毎日、アキラちゃんに好きって言ってたよね?好きな人が泊まりに来たんだよ…期待しちゃうの当たり前じゃない?」

「はあ?!」

「アキラちゃん…警戒心なさすぎ…」


ベッドに押し倒されて身動きが取れなかった
ゆっくりと前川の唇が近づく…俺はそのキスを拒めなかった

「んあ…ッ」

「アキラちゃん…口、もっと開いて…」

「ん…ふ…」

「舌…出して?…ん、上手…」

絡み合う熱い舌先、ぎこちなくだす舌を強弱をつけられながら吸われたり押し返されたり

そこからはよく覚えていない
舌入れられて頭ん中が真っ白になって、気付いたら服を脱がされて全裸になっていた

汗ばんだ胸を舐められたり摘ままれたり、それにいちいち声をあげていた…と思う

ぬるぬるしたものが尻の割れ目に塗られて、前川の指がゆっくりと挿入してきた


「いっ…!!」

「アキラちゃん…力抜いて…リラックスして…?」

俺は前川にしがみついた
強く強くしがみついた

そう、背中に爪の痕がつく程に

「う…あ、、、」

「ん、いいね…だいぶ解れてきた…もう一本増やすね…」

「や…やだ…やめ…あッ…ん、、、」

「やだ、じゃない…アキラちゃんのここ…食いついて離してくれないよ…」


************

達した後、そのまま眠気に襲われ俺達は朝を迎えた



「腰…いてえ…」

「ごっ、ごめん…」

まさか男と寝るなんて思ってもみなかった
まさか前川が本気だなんて思ってもみなかった


「朝食、作るからアキラちゃんは寝てていいよ」

「ん…」

下着を身につけ、スエットパンツだけの前川の背中をベッドからぼうっと見つめた

昨夜の温もりを思い出し、思わず身震いする


「…優しく抱いてくれたな…」

「ん?なに?」

「なッ…なんでもねーよ!!」


うっかり口に出してしまった

あいつの鼻唄が台所から聞こえる
枕に顔を埋めるとあいつの匂いがする
俺はこの匂いに包まれて眠っていた
酷く安心すると同時に焦げたパンの匂いがして、なんだか滑稽で思わず俺はこっそり笑った



end

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