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そうゆうさんへ

鉄生←清広
鉄生が気になって仕方ない清広。触られただけでドキドキしてしまう切ない葛藤と想い。






『impression』



最近、イライラしてしょうがない…
そうイライラの原因はあいつだ。



「清広ー!」


来た…

「おいなんだぁ?冴えない顔してんな?カッカッカッー!」

朝からうぜぇ……


「おい、無視すんなよ」

「…うぜ」

「なっ…!?テメェ頭に向かってコノヤロー!!!」


鉄生が俺のシャツを掴み、いつもの取っ組み合いになる
それを将太が制止する

「おいおい、二人ともそこまでにしとけよ…」



「……ふんっ」

「ぐぬぬ……おいっ、清広…テメェ…覚えてろよ!」


……なんなんだこのもやもやした気持ちは。

あいつと取っ組み合いをするたびに、何故だか胸が痛む…



気がつくといつも鉄生を目で追っていた。

俺はそんな自分に腹が立ち苛立ちを隠せずにいた

また八つ当たりしてしまう…



「おいこらハゲっ……!俺のコーヒー勝手に飲んでんじゃねーよ!!」

「あ?これ清広のか…わりぃわりぃ…!ほい、返すわ…」

「いっ…いらねーよ!」

「…缶コーヒー位でいちいちうるせえヤローだな」



俺のコーヒーを、間接キスじゃねえかよ…バカッ…



「ちっ、」

「………?」

自分でもよく解らなかった
自分と同じ男である鉄生になぜ、こんなにも胸が痛くなるものか…


あいつを見るたびに胸が締め付けられてついイライラしてしまう…

認めたくはなかった…あいつを……。


自分とは違うタイプの…
俺はあの喧嘩でお前についてゆくと決めた
でもこの想いがここまでとは…どうすりゃいいんだ…




「ん?清広…なんか顔が赤いぞ?熱でもあんのか?」

鉄生が近付き、
俺の額に手を置く


「…………ッ!!!さっ、触るなっ…!!」

俺は勢いよく鉄生を突き飛ばした。


「…いってぇ…!なんなんだよ…人が折角心配してやってんのによぉ…!ああ?」

「…ッ、………あ、悪りぃ。」

「もういいわ…帰る、清広あんま無理すんなよ…」



立ち去る鉄生の背中をただ眺めていた

触られた額が熱を帯びる





あいつの感触、



聞こえる訳もない小さな声で

「悪かった」と一言。


どうして素直になれねえんだ…俺は…

もう戻れない
もう引き返せない


俺は鉄生を………、


自販機で缶コーヒーを買って、立ち去る鉄生を追いかけた


「おい…待てよ!!」

「あ?」

「……さっきは悪かった…な…」

缶コーヒーを差し出すと、
鉄生はニヤリと笑って「サンキュ、飲みたかったんだ」と言った


「じゃ…じゃあ…」

「あ、待てよ清広…」

「ん?」


鉄生は煙草を取り出して、俺に一本差し出して言った


「一本、付き合えよ」

「……お、おう」



紫煙が空を漂う
くだらない会話で胸が熱くなる

ただ、
側にいられるだけでよかった
「好き」だなんて言葉にしたらきっとこの関係は終わってしまう
このままでいいんだ…
お前が頭で、俺は副頭で



俺は煙を吐き出して、
落とした煙草と一緒に自分の気持ちをもみ消した


鉄生に触れられた額がまだ熱く感じられた


end

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