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□良薬口に甘し
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蜂雨さんへ


宗春×明
風邪をひいた宗春になれない看病をする明のお話。
リクエストありがとうございました♪



『良薬は口に甘し』



『FROM:前川*件名:助けて!本文…アキラちゃんおはよう!今日のデート、行けなくなった…ごめんね。風邪をひいちゃった…苦しいアキラちゃんに看病して貰ったら治るかも。アキラちゃん、会いたいよ…!追伸・待ってるね♪』





「なっ…なんだよ、このメール!大体…デートじゃねえし!!」


今日は前川と昼飯を食べに行く約束をしていた。

早朝8時、前川からメールがきた。
俺はまだベッドの中だった。



届いたメールを見返した、

熱は大丈夫なのか?

今日の昼飯の約束はまた延期でいいのだろうか?




看病しに行くべきなのだろうか…?

天井を見ながらぐるぐると前川の事を考えていた。


「頑丈なあいつが風邪かよ……」

あいつなら熱があっても来そうなのに、来れねえとか…余程、具合が悪いんだろう




答えは決まっていた


「今、行く」

一言、添えて俺はメールを送信をした。


************

途中でミネラルウォーターと風邪薬を買って、前川の家へと向かった。

俺が行ったら前川は喜ぶだろう…そして「アキラちゃん」なんて言いながら、無理に笑ってみせるだろう。
そんな事を考えながら、前川の家に着いた。




「アキラちゃん……!」

「……!!!?」

「アキラちゃん…来てくれたんだね…ゲホッ…ゴホッ……」

「ババババカッ…!おまっ…熱あんのになに、外で待ってんだよ……!!!」



こともあろうか、
前川はTシャツにスエットパンツのまま玄関先で俺を待っていた

俺は前川の背中を押して、家のなかへと入った。


「アキラちゃん…本当にきてくれたんだね…嬉しい…」

「お…おう……」

もぞもぞと布団に潜り、前川は俺の存在を確かめるように俺をじっと見つめていた

顔が真っ赤になり、いかにも辛そうな前川の表情…




「ね、熱は…?一応、薬買ってきたぜ」

「ん…38度ちょい…かな…薬か…でも、何にも食べてない……」

「台所………借りていいか?」

「え…ああ…誰もいないから…使っていいよ」

「なんか適当に作ってくるよ…」

「嬉しい…アキラちゃんがここにいてくれるだけでも嬉しいのに…ゴホッ…ゴホッ……、」

「おい…大丈夫か?病院に…」

「いい。寝てりゃ治る…それより……アキラちゃんに触れたい…」


熱のせいか、目が潤んでいる前川はいつもより甘えた口調でせがむ


俺は手を伸ばして、前川の頬を包んだ
前川はニコリと笑ってそのまま安心したように眠りについた


「ね…寝ちまった……」


前川が寝た隙に、
俺は台所を借りて慣れないお粥を作った




「お粥…つうか…雑炊みてえだな……」

失敗したお粥、
それでもきっと前川は喜んでくれるだろう

お粥を持って、前川の部屋に入ると前川はまだ眠そうな顔でうとうとと目を開けた


「アキラちゃん…帰ったのかと思った…よかった……」

「…何にも食ってないって言ってたから、台所を勝手に借りた。お粥……」

「アキラちゃんの手作り…?」

「え…あ…あぁ…」

「嬉しい…アキラちゃん…すげぇ抱き締めたい」





ばか…
この期に及んでよくそんな甘い言葉。


「起きれるか?」

「うん、起きるくらいなら…」

前川を起こして、お粥を差し出した。


「アキラちゃん…あーん♪」

「…そうくると思ったぜ…。ったく…今日だけだからな…!」



大きな口を嬉しそうに開けて、俺の作ったお粥を頬張る。


「うん…おいしい!」

「そ…そうか…ん、」

ぱくぱくとお粥を食べ進めていく前川は本当に嬉しそうで、
たまにはこういうのも悪くないと…そう思った。

お粥を完食した前川に薬を飲ませて再び、寝かせる。


「アキラちゃん…来てくれてありがとう」

「いや、どうせ暇だったし」

「必ず、埋め合わせするからね♪」

「ああ…もういいから、寝ろ」



「…アキラちゃん…」

「あ?」

「すっげえ…好き…」

「………ん、」



前川はそのまままたうとうとと眠りについた。

俺の手を握ったまま。



それから、
熱を冷ますシートを頻繁に交換し、出てきた汗をタオルでふいてやった。



「ん……アキラちゃん…」

「お、おう…起きたか?」

「喉…渇いた…みず………」

「おう、起きれるか?」

「ん…頭…痛い……」



俺は買ってきたミネラルウォーターを自らの口に含み、
口移しで前川の口内へと流し込んだ…。


「……おいしい、ありがとう…アキラちゃん」

「…べっ、別に!」


ただ、前川に早く元気になって欲しかった

「アキラちゃん…みず…もう一口…いい?」

「え……あ、おう…」

再び、口にミネラルウォーターを含んで口移しをする

ただの水なのに…美味しそうに飲みやがるな…


「風邪…アキラちゃんに移ったら今度は、俺が口移しするから…」


「……いい」

「アキラちゃん…もう一回…みず…」

「………前川、おめー…」



よく見ると前川の顔色はよくなり、いつもの声色に戻っている

熱…下がったな…?




「アキラちゃん……?」

俺は気付かないふりをした

今日だけは、
こいつを甘やかしてやるか…



「ああ…水な?」



そして、
3回目の口移しの水を前川の口内に流し込んで…そのまま長いキスをした。



end

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