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□気まぐれハイテンション
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『気まぐれハイテンション』
バイトが深夜に終わると、清広のマンションに直行するのが俺の日課となっていた。
行く日に必ず、"今日、行く"とメールをする。
あの清広のことだから、返事はあったりなかったり。
それでも、今日も懲りずに俺はバイクを飛ばして清広の元へ向かっていた。
インターホンを押すと、清広はいつもの仏頂面でドアを開けて俺を迎え入れる。
「清広、ただいま…!」
「……ラーメンくせぇ、」
「…なっ!仕方ねーだろっ…!!テメーと違って汗水流して働いてんだよっ…!」
「ふん、」
清広はいつも風呂上がりで、既にスエットパンツにTシャツを着てラフな格好で待っていた。
当然、リーゼントでもない髪をおろした状態。
「鉄生…風呂、先に入るんだろ?スエット出しといたから…」
「お、おお…サンキュ……、」
「なんだよ?」
「あ、いや…たまには…一緒に風呂…入りてーな…と思ってよ…、」
「……そういうと思って、いつも先に入ってんだよ。バーカ!」
「…ッ、テメー…!!」
そんなやりとりが日々、続いていた。
一緒に風呂には入ることはなかったが、ひとつのベッドに入ればやることは同じで……今夜も嫌がる清広を大事に抱き締めて眠りについた。
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"今日、バイト終わったら行く"
清広にメールするも、返事はない。
まあ、いつものことだ。
バイトが終わっていつものように清広の元へ向かう。
「おう!清広、ただいま……!」
「ちっ、…ただいまって、ここはテメーの家かよ!」
「あぁあ、腹減っ………、ん!?」
よく見るといつもTシャツにスエットパンツの清広の姿が、私服にリーゼントのままだった。
「き、清広…お前、まさか風呂…まだ?」
「…んだよ、悪りーかよ…」
「いっ、い、一緒に風呂に……入ってくれるのか…!!」
「………い…いつもしつこいから…、たまには。まぁ…一緒に入ってやろうかと…、」
清広は視線を逸らして顔を赤らめたまま、そう呟いた。
「清広ぉお…!!!」
「わっ…バカっ…離れろッ、ラーメンくせぇんだよ…離れろッ、バカッ……!」
なんと言われたって構わねえ。
俺は清広がたまに見せるそんな優しさも全部…大好きだからよ。
今すぐにでも、
がっつきてえ…
なあ?
いいだろ?
久しぶりの二人風呂は堪らなく
興奮する。
"期待していいんだぜ?清広"
なんて、
言ったらまた殴られそうだから
俺は代わりに手を取ってバスルームへと向かった。
end