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□最後の告白C
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「最後の告白」完結編です。
あらすじ…明が将五から貰ったネックレスを見て、嫉妬に狂った前川が無理矢理に明を犯して、うまくいかないと決断した明はついに前川に別れを切り出します。
別れてから三ヶ月…その後のお話です。



『最後の告白C』


前川と別れて3ヶ月が過ぎた。

毒蛾との集会で度々、顔を合わせていたが会話をすることもなく、お互い何ら変わらぬふりをしていた。


会うたびに胸を締め付けられる想いがふつふつと沸いてきて、自分から別れを切り出したにも関わらず実は既に俺は…後悔をしていた。

恋愛経験が殆どないものだから、どう接していいのかも解らず悩んでいた…



(出来れば少し話したい…)



「アキラ……、なんだかあいつと別れてから元気がないな…」

「そ、そうか…?」

将五は気を使っていつも側にいてくれた。



「俺は……」

「ん?」

「俺は…、前川を好きなアキラごと、好きなんだ。それはずっと変わらないから……」


「…ッ、はっ…!?えっ?え…な、なんだよ…いきなり…、」

「今のお前…らしくねえよ…?」

「………、」



らしくない…

でもどうすれば…?

俺が出した決断にあいつは乗ったんだ。

もう戻れねえよ…

もう…戻れねえ…、


前川はまだ俺の事を好きでいてくれているだろうか。




「俺は…アキラが好きだから、お前が悩んで苦しんでる姿を見てるのが正直辛い、」

「将五…、」

「行けよ、」

「将五…でも俺と前川は…、」

「まだ…好きなんだろ?」



将五は泣きそうな顔で優しく微笑んで、背中をポンッと叩いた。


将五が背中を押してくれ、
俺は安生市へと向かった。


(勢いで来ちまったものの…どうしたら…、)


前川の家の前を無駄にうろうろして、行ったり来たり。

(完全に不審者じゃねえか…)



「アキラ…ちゃ…ん……?」

「わぁあっ…!」

突然、背後から声をかけられて驚いて振り向くとそこには前川が立っていた。


「あ、ま…前川…、」

「……何か用?」

「へっ…?あ、用…て言うか…その…ちょっと話せねえか?」

「……いいけど」


俺から別れを切り出しておいて何を今さら。

こんなに顔が良くてモデルみてえな体型のやつだ…女がほっとかねーだろう。
もう既に彼女…いるかもしれねえし…。

やっぱり、無理なのか…

だったらここまで来た意味は?

将五が送り出してくれた意味は…?



暫くの沈黙に耐えきれなくなった前川が口を開く。

「アキラちゃん…?話がないならもう帰っていいかな?」

「あっ、いや…話…ならある…」

「なに?」

「あのよ…あのっ…すげえ自分勝手であれなんだけど…、前川…今、お、女…いたりするのか?」


俺は俯きながらボソボソ話しだすと、前川は煙草に火をつけて深く吸い煙りを空に吐き出した。




「………んー、何人かには告られてるけど、断るつもり。」

「そ、そうか…」

「俺、好きな人いるから。」

「あっ、そうか…好きなやつが……」


そりゃあそうだ…3ヶ月も離れてりゃあ…。




「アキラちゃんが、」



「えっ…、」


分かりやすい俺の行動と言動に前川はニヤニヤしながら、笑っていた。

俺は恥ずかしかった…
自分から離れておいてやっぱり忘れられなくて…ヨリを戻そうなんてことすら見透かされるなんて。

煙草を空き缶に投げ入れ、
歩み寄る前川。



「アキラちゃん…好きだよ、」

「前川……、俺…」

「あの日から…一日だってアキラを忘れたことはない。」

「前川……、あのっ…俺……お前を傷つけてた…気付かなくて…本当に本当に…悪かった…」

「いいって。俺も無理矢理したこともあったし……、これでおあいこだよ?あの時は…ごめんね?」

「う…、お、俺…で、いいのか…?」

「うん。アキラちゃんじゃなきゃ嫌だ。アキラちゃんじゃないと俺は…ダメな男なんだよ…」

「お、俺も…お前しかいねえって…って思って…、ここまで来た…」

「アキラちゃん…抱きしめて…いい?」



久し振りに包まれた腕のなかは温かくて俺の一番好きな匂いがした。



やっぱりお前がいないと…だめだわ。


***********



「アキラちゃん、ヨリも戻したことだし…チュウしよっか♪」

「調子に乗んな…!」

「その、ネックレス…似合ってるよ?」

「……!嫌みかよ、」

「ううん、俺…将五のこと嫌いじゃないし…アキラちゃんの好みよく分かってんなーって感心したんだ…」

「でも…お前が嫌なら外す。」

「いいよ、そのままで。よく似合ってるし…アキラちゃんには俺自身がいつもピッタリくっついていればいいし…!」

「……ばかやろ、」


前川の家の前でしゃがみこんで色んな話をした。
今まで話せなかったことや、お互いに思っていたこと全て。

それだけじゃ足りなくて…
前川は「このままうちに泊まりなよ」と言うので泊まることにした。


今まで離れていた隙間を埋めるかのように…俺達は朝まで抱き合った。

いつまでも。
いつまでも。


「アキラが幸せならそれでいい」


そう言っていた将五の為にも、
俺はもう二度と前川から離れない…



夜明け前、

眠る前川の腕に抱かれてそう静かに心に誓った。




end

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