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□恋の痛み、愛の傷
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アキラと付き合う事になった宗春が毒蛾の仲間に打ち明けます。
アキラに片想いをしていたツネは…。
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『恋の痛み、愛の傷』
「あのさ…皆に話があるんだわ…」
宗春が照れたように笑いながら、俺達の集まる飲み屋に来るなり口を開いた。
「あのさ…俺、武装の奈良と付き合う事になった。」
「え……、」
周りは騒然。
そりゃあそうだ。
あの女垂らしで彼女が途切れたことのない宗春が、よりによって男と。
相手はしかも、武装の奈良だなんて!
洋次も「お前…正気か?」なんて言う始末。
しかし、宗春の顔は真剣そのものだった。
かくいう俺も……、
奈良明が気になっていた。
「ん、ツネ?どうした?」
「なっ、なんでもねーよ!」
勝てっこねえ、
勝てっこねえのに…
宗春、
なんでアキラなんだよ…
吐いて棄てるほど女にモテている宗春が…どうして…?
もし俺が宗春より先にアキラに告白していたら…結果は違っていたのだろうか。
「ツネ?具合でも悪いのか…?」
「宗春…お前さ、ついこの前まで女…いたよな?」
「いたけど別れた」
「なんで……」
「ん?」
「なんでアキラなんだよ…どうして…」
「ツネ…?」
「宗春のバカヤロォオー!」
俺は店を飛び出して、真相を確かめるべくスクラップ置き場へ向かった。
入り口には武装の新人が何人かいて、「毒蛾のツネだ、アキラに会わせろ」と話すとアキラ自らやってきてくれた。
「なんだ、お前か…!どうしたんだよ?」
「アキラ…あのさ、宗春と付き合うって…マジかよ?」
「………っ、なっ、なっ、なっ…!!?!なんで…知って…」
「宗春が自分で…」
「あいつー…!!!」
ああ…アキラ、
やべえ抱き締めたい…
俺も相当、イカれてんなあ…
跳ねた後ろ髪とかいいよな…
意外と可愛い唇とか…
キスしてえ…
「ん?ツネ…?どうした?」
「な…んで…?」
「おいおい…どうしたんだよ…?何かあったのか!」
「なんで…なんで……宗春なんだよ…俺だって…、」
「あ?なに…言ってんだよ…」
「なんでもねえよ……、チクショウ……。」
結局、想いは伝えられず。
俺の片想いは幕を閉じた。
それでも、
会うたびに胸が痛くてたまんねえんだよ…未だに。
end