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□悪戯ハロウィン
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『悪戯ハロウィン』


今日は世間でいう、いわばハロウィン。

あのバカの考えてることなんて、手に取るように解る。



「トリックオアトリート!」

「……あほ」

「清広ー!今日はハロウィンだぜ…!お菓子をくれないと、イタズラしちゃうぞ〜」

「ん、おら」


案の定、
ハロウィン当日の夜。

バイトの帰りに鉄生が俺の住むマンションへと訪れた。


俺が何も準備してないと思って、このバカ…

俺はこうなるかことを予想して裏をかいた。




「な、なんだよ…これ…」

「クッキー」

「い、いらね…いらねーよ!イタズラさせろよ…」

「あほ。お前の考えてることなんて、お見通しなんだよ」

「ぐっ…、」


鉄生はしゅん…と肩を落として、唇を尖らせてぶつぶつと独り言を言い始める始末。



「ちっ、仕方ねえな」

「清広…!イタズラさせてくれるのか…!!」

「させるか…!!ほら、折角、焼いたんだから食えよ…」


クッキーを手にとって、鉄生の口に運んだ。


「焼いた…って、お前が?料理オンチのお前がか?」

「うるせぇ…いいから、食え…!」

「ははっ、焦げてる……けど、美味いぜ…!」

「焦げてるは余計だ、あほっ…!」


むしゃむしゃとクッキーを食べながら、鉄生はガバリと抱きついてきた。


「清広ー!お菓子貰ったけど…やっぱり、イタズラしてぇえ…!!!」

「あ?ああっ?…ふざけんなっ!」

「悪りぃ…我慢出来ねぇ…、清広ぉお〜!!!」





…結局、


苦労して焼いたクッキーも無駄になり
(いや、最後にはあのバカが全部食べたが)、


俺はどちらにせよ、悪戯される羽目となった。


あ?
どんな悪戯をされたかって?



んなこと、言えるか…!!




"トリックオアトリート!"

お菓子をくれなくても、

イタズラしちゃうぞ。



end

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