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□空白の約束
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『空白の約束』


「清広、好きなんだよ」

「…だから、無理だって」

「なんで…?」

「頭と副頭が付き合ってるなんて…下の奴らが知ったら、気を使わせるだろ…だから、無理なんだよ…」


見るな、
見るなよ…そんな瞳で。

お前の眼差しがあまりにも真摯で、本気だから思わず流されてしまいそうになる。


本当は俺も…。


「清広…それなら、六代目が終わったなら……いいか?」

「え…」

「いつか、六代目が終わったら……俺と付き合ってくれるか?」

「え…あ…あ、ああ…」

「本当か!?」


お前は、
パァッと笑顔になって嬉しそうに笑った。



「清広、約束な…!」



「ああ…」

本当はその笑顔にキスをしたかった。


自分で拒んだこと。


本当はお前の胸に飛び込みたかった。

頭と副頭という立場も忘れて。

俺も好きだ、と言えていたなら。


こんなに後悔はしない。


お前の本気が伝わってくるから、尚のことタチが悪い。

冗談だろ、と笑い飛ばす事ができたらどんなに楽だろう。


そんな風に悩んだ日々は、突然、終わった。




あの日の約束を、

果たせなかった約束を、

俺は一生、忘れることが出来ないだろう。


end

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