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□優しいだけじゃ物足りないから
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※裏、性的表現有り注意。



『優しさだけじゃもの足りないから』



学校で見てはいけない光景を目の当たりにしてしまった。

たまたま通りかかった資料室から聞こえてきた声。



「あッ…やだッ…んん…」

「クロサー…本当、スケベな身体やね…ワシ、もう授業どころじゃなか…」

「やッ…、もう…これ外してくれ…九里虎…」

「まだまだ足りん…これからばい♪」

タオルで手首を後ろ手に縛り、
バンダナで目隠しをして、
乱暴に後ろから立ったまま容赦なく激しく打ち付ける腰。

黒澤と九里虎がセックスをしていた。



「あ…痛てぇ…やッ…、慣らさねえまま…突っ込みやがっ…て…」

「…慣らさなくても、クロサーの尻は素直に広がるけんねー」

「も…イきてぇ…九里虎…」

「まだまだばーい♪」


驚愕だった。

こんな乱暴なセックスがあるなんて…慣らしてねえと、痛いに決まってる。
しかも、こんな狭い部屋で立ったまま後ろから突かれて。

手首の自由はきかず、
目隠しされたまま…

俺は、
違う意味で自分の中に涌く好奇心を隠しきれなかった。



「イキてぇ…頼む…」

「まだ足りん…」


耐えきれず、俺はその場を離れた。

俺と軍司さんは、あんな乱暴なセックスなんてしない。

いつも優しくて、
温かくて、
ラブラブでイチャイチャな…。
お互いを思いやるようなセックスだ。

でも…

「たまには乱暴にされたいかも…」

九里虎と黒澤のセックスの残像が消えないまま、帰宅して、いつものように軍司さんの家に行った。
学校が終わると、バイトのない日は軍司さんの家に行くのが当たり前になっていた。



「十希夫、今日も晩飯食って行けよ!」

「はい、そのつもりです!いつもすみません…」

「遠慮すんなよ♪」


軍司さんの部屋で晩御飯が出来るまで、イチャイチャしたりキスをしたり。

それでも消えない、あの光景。

軍司さんとキスをしながら、九里虎と黒澤のセックスを思い出す。


「ん?十希夫…?もう勃ってるのか…?」

「あっ…す、すみません…!」

「ははは!まだキスしかしてねえのに、えろい奴だなぁ…!」

「あのっ…軍司さん…」

「ん?」


チュッと首筋にキスをしながら、軍司さんは行為を開始し始めた。

「あの……今、するん…ですよね…?」

「ん?どうした?体調が悪いならやめるぞ?」

「あのっ…、今日は…今日は…」

「うん?」


「乱暴にして…ください。」


一瞬、沈黙が流れた。

キョトンと目を見開いてビックリした様子の軍司さんが、そっと頭を撫でながら口を開いた。


「…いいのか?」

「はい」

「優しいだけじゃ、足りねーのか?十希夫…」

「あっ、いえっ…気に触ったならごめんなさい…違うんです!たまには…乱暴なのも…乱暴な軍司さんも知りたいな…って…思って。」

「容赦しねえぞ?」

「はい、俺…軍司さんになら何をされても…」

直後、
無理矢理に唇を塞がれて口内を舐めつくされる。
いつもより強く、舌を吸い上げられ思わず身体がビクリと揺れた。

「んッ…ふぅ…」

着ていたシャツを無理矢理破き、ボタンが弾けとんだ。

首筋を強く吸い上げ、赤痣を無数に付ける。
そのまま唇は下降し、胸の突起を強く噛んだ。


「あああッ…!痛ッ…軍司さ…」

軍司さんは無言のまま、行為を継続する。
突起を噛んで、片方は手で強く摘まんだり弾いたりした。

いつもなら優しく突起を舐めて、触ってくれるこの行為…今日は違う。

突起から唇を離すと容赦なく、首筋をカリッと噛んだ。
僅かに血が滲む。

軍司さんの荒々しい息づかい、
汗ばむ身体、
いつもより鋭い眼差しは愛しい者を抱く、というより…快楽を楽しむ表情。

それは…俺が望んだ、表情。


「おい、しゃぶれ」

「え…」

「聞こえなかったのか?しゃぶれよ、十希夫」

グイッと頭を掴まれ、反り立つ軍司さんの中心を口内へと無理矢理、押し込まれた。
喉の奥に届くまで押し込まれ、嘔吐感に見舞われながらも懸命に口淫する。

「んッ…んッ…」

「おい、」

「んッ…んは…ぁ…はい…?」

「たりねー」

「えっ…?」

「たりねーんだよっ!もっと、うまく舌を使え…」

頭を強くわしづかみにされて、激しく上下に動かされる。

俺の目からは涙が溢れていた。

長い長い口淫を終えると、
四つん這いにされ、ズボンと下着を剥がされる。
手元にあったタオルで手首を後ろ手に縛られ、俺は身動きが取れなくなった。


「軍司さ…?」

「お前が望んだんだろ…」

「あッ…!!」

グイッと尻を持ち上げられた体勢にされると同時に、尻を思いきりパシンッと叩かれた。



「ああッ…ん!」

「クッハハハ…尻を叩かれて感じてんのか?ああ?十希夫…?」

「あッ…はぁ…はぁ…」

「ほら、もっと叩いてやるよ」

再び、
尻を数回、軍司さんの大きな手でパシンッと叩かれた。
尻を叩かれたまま、軍司さんの指が口内に押し込まれる。

「んぐぅっ……!?」

「ほら…十希夫、今からこの指がお前のケツ穴に挿入るんだぜ…よく舐めろよ、」


いつもなら、
ローションを使うか、
軍司さんが直接舐めてくれるのに…

口からは唾液がだらしなく溢れ、指を一生懸命に舐めて存分に濡らした。
口から指を引き抜かれると、
蕾を数回撫で回し、
軍司さんはそのまま、いきなり2本の指を挿入してきた。


「ふぁあああッ…ん!」

指を中でゴリゴリと回して、前立腺を探しあてる。
ロクに慣らしてないものだから、初めての時の痛みに似た鈍痛が押し寄せる。


苦痛に顔を歪ませるが、優しい言葉はない。

涙は止まらないし、
唾液も流れたまま…

そんな俺を上から見下ろす軍司さんの表情は、ニヤリと笑い、今までにないセックスを楽しんでいる顔をしていた。


「そろそろ…」と、予告もなしに指を中からズルリと引き抜き、間髪を入れずに軍司さんの硬い中心がズンッと奥まで挿入された。


「あああああッ…!!」

「十希夫、動くぞ…」

尻を叩かれながら、激しく突かれた。
かと、思えば…
後ろ手に縛った両手首をグイッ掴み、手綱のようにして中を突き上げる。


「やぁあああッ…ん!軍司さ…痛い…ああッ…!!」

「まだまだ終わんねーんだよ…」

尻に腰を激しく打ち付ける音がいつもより大きく部屋に響き渡る。

俺は顔を枕に押し付けられ、腰を高く持ち上げられたまま…もう既にイきそうな感覚に見舞われていた。

「軍司さ…ん…も、イカせてくださ…?」

「あ?聞こえねえ…」

「ふああああッ…!」

軍司さんは今にもイキそうな俺の中心をグッと握り、吐精させぬように出口を塞いだ。


「やッ…やだぁ…軍司さん…イキたいです…やめて…」

「自分だけ先にイこう…ってか?ああ?」

「ごめんなさい…でも…もう…イキたい…ああッ…ん!」

「仕方ねーな…この、すけべヤローが…」


初めて聞く、軍司さんの怖い口調。

いつの間にか変わっていた傷みからの快楽。


俺の中心を握っていた軍司さんの手が緩んだ。

「十希夫、こっち向け」

「はい…軍司さん…」

「出すぞ…」


ズルリと蕾から引き抜かれた軍司さんの中心は、振り向いた俺の顔に射精された。

抜かれたと同時に俺の中心からも射精し、シーツを汚した。


「はぁ…はぁ…けほっ、けほっ…」

顔にかかった精液を舌を使って、舐めとる。


「ばか…十希夫、そこまで求めてねえよ…ほら、顔ふけよ…」


軍司さんは縛っていたタオルを解いて、
優しく顔を拭いてくれた。


「軍司さん…」

「そのままの顔でも俺は、好きだが…先にシャワー浴びるか?」

「はい…あの…」

「十希夫、」

「はい」

「ごめんな、怖かったろ?」

「いえっ!あの…お願いしたのは俺ですし…き、気持ちよかったです…」

「ははっ、尻を叩かれるのが?」

「やっ、やだっ…軍司さんってば!!」


セックスが終わると、いつもの軍司さん。
優しい眼差しで俺を見つめる軍司さん。

ヨシヨシ、と頭を撫でられ顔中にキスをしてきた。
くすぐったいくらいに。


噛みついた血の後にもキスをして、
縛っていた手首にもキスをする。
そして…叩いたお尻にも。

いつものこの優しさや、気遣いがとても大好きなんだ。

乱暴なのも…燃えたけど、やっぱりいつもの軍司さんが一番好きだと思った。

たまには、
乱暴な軍司さんも有りで。


「軍司さん、」

「ん?」

「大好きです」

「そうだったな…そういや、ヤってる時に言わなかったのは初めてかもなあ…」

「え?」

「十希夫、愛してる」

「…はい。」





汚れたシーツ、
破けたシャツ、

考えることは後回しにして…

とりあえず、
もう一度、
優しく愛し合しあいませんか?

いつものように。


end

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