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□終わらない唄
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『終わらない唄』


お前は言った。

「この愛に、この関係に、終わりはない」と。

どうしてそこまで、俺の事を愛せる?

いつかは普通に女と恋愛がしたくなり、
女の身体が欲しくなり、
男の俺の事なんて忘れるんじゃねえのか…?

お前は、女を知らねえからそんなことが言えるんだ。

ガキみてえなことを言いやがって…

期待なんか最初からしてねえ。

傷つくのは目に見えているんだ…いつか来る、終わりの日を。


女を知れば、
きっと俺は捨てられる。
だから、
期待なんかしねえ。
言葉も信用しねえ。

抱かれているこの身体すら…思い出せなくなる日がくるだろう。


なあ…鉄生。


「清広?」

セックスの後に考えることじゃねえよな…滑稽だぜ。

隣りに寝そべりながら、不思議そうに顔を覗きこむ鉄生。


「清広?大丈夫か?」

「あ?なにが…?」

「ん、なんか…悲しそうな顔をしてたから」

「なっ、なんでもねーよ!このっ、くそハゲっ!」

「ああっ?なんだテメー、またヒィヒィ言わすぞ、コラァ!!」


こんな当たり前のやり取りがいつまで続くのか。

お前以上に、お前にハマってしまったのは…俺の方なのかもしれない。


いつかは離れる、
傷つく前にそう考えなければやってゆけない。


「清広…お前、泣いてんのか?」

「泣くか、バカッ!」


あの時と同じやり取り。

あのあと、
お前とわかりあえて、
かけがえのない者となった。


「いつかは、終わりがくる…」

「あ?なに言ってんだよ、清広」

「俺の事、もう…忘れろよ」

「は?こんなに愛してるのに忘れられるわけねーだろ、馬鹿が。」

「俺じゃなくても…」

「俺は清広がいいんだ…生きてる限り、いや、死んでも愛してるぜ!」


ニカッと笑った鉄生の顔が忘れられない。

女が出来ることより、
女を知ることより、

残酷な試練を神は俺に与えた。


だから、誓う。
一生、お前だけ愛すると。



end

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