mainB

□シグナル
1ページ/1ページ


『シグナル』


「もう知らねえっ‥!」

「まっ‥待ってコメ〜!」



久しぶりのデート。

ゼットンが、
新作映画が観たいと言うから、めいっぱいお洒落して映画館にきたのに。


たまたま隣りに座った女子大生の二人組に声をかけられた。



女子大生「お二人ですかー?」

米「はい‥」

女子大生「良かったら映画終わってからランチご一緒しません?」

米「あ‥すみませんが‥」
絶「ぜひ‥!!」

米「え‥‥?」

女子大生「わー!嬉しい!!二人ともいくつ?」

絶「いやー、花の高校三年生です!ハハハハ!」

女子大生「キャー!年下!私達、女子大の一年‥!!」

絶「女子大生‥!たまりませんね〜!!」

米「‥‥‥‥‥‥帰る。」

絶「えっ、コッ‥コメッ‥!?」



そして、今に至る。

俺は映画も観ずに席を立って、その場を去った。


なんだよ‥あのニヤけた顔は。

バカッ‥!

女子大生にデレデレしやがって‥。


「コメ‥‥!」

腕を掴まれ、
引き寄せられる。

「離せよ‥!」

「何、怒ってるんだよ?」

「‥‥っ!バカ!!」


空いた手で平手打ちを食らわそうとしたら、あえなく交わされる。


「コメ‥‥機嫌直してくれよ‥」

「せっかく‥二人きりで出かけたのに‥女にデレデレしやがって‥‥」

「‥‥!!コメ‥お前‥気付いてないのか?」

「あ?」

「あの二人‥コメが目当てだぞ?」

「‥え?」

「コメの事、格好いいって話してた!」

「だ、だからって‥なんでランチオッケーしたんだよ‥」

「いや‥断ったらかわいそうだなあと‥」



どこまでいい人なんだよ‥お前は。


「俺は‥‥‥お前と二人がいいんだよ‥」

「コメ‥」


なんだか恥ずかしくなって少し照れた。

そして、
自慢したくなった。

この大馬鹿で優しい男は、俺の「恋人」ですと。


「ゼットン‥ゴメンな‥映画‥」

「ははっ、いいって!次の回が始まるまで二人で飯でも食おう!!」

「‥ああ。」



映画を観ている間、俺から手を忍ばせて大きくて優しいお前の手をギュッと握り続けた。

片時も離れたくない。

お前にベタ惚れな俺のシグナル。



end

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ