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□お嫁サンバ
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『お嫁サンバ』



「ま〜た!脱ぎっぱなし!!軍司さん!」


俺は卒業してから、左官業を営む軍司さんの家に就職させてもらった。

かと言って、
現場に行く訳でもなく主に事務的な仕事を任されていた。

幼なじみと言う事で、軍司さんの母親の留守な日には家事なんかもやってあげたりして‥

それが最近、エスカレートしてきていた。



「なんだよ、十希夫‥」

「軍司さんっ!靴下、脱ぎっぱなしにするのやめて下さい‥!」

「ああ‥今、片付けようと思ったんだよ」

「ああっ!そのTシャツも今日、着たやつですよね?洗濯しますからベッドの上に置かないで下さい‥!!」

「はいはい‥」


全く‥軍司さんてば、
俺がいなきゃ何も出来ないんだから‥。

いそいそと、
仕事を終えた軍司さんの衣類をまとめて洗濯機へつっこむ。


「おばさーん!洗濯機回しちゃいますよ?」

「十希夫ちゃん、いつもありがとうね。お願いー!」


俺の仕事は、

事務仕事なのか、

家政夫なのか‥。

まあ、給料はいいし‥大好きな軍司さんとはいつも一緒にいられるからいいんだけど‥。

俺はグルグルと回る洗濯ものを見つめ、自分の今いる現状を考えこんでいた。


「十希夫、悪い!これも洗っといてくれ!」

と、
パンツ一丁で現れた軍司さんはその場でパンツを脱いで俺に差し出した。


「ちょっ‥軍司さんっ」

「なんだよー!何、照れてんだよ‥いつも見てるだろ♪」

「そういう問題じゃなくて‥」


デリカシーがないと言うかなんと言うか‥慣れって怖い。

ぽいっと軍司さんのパンツを洗濯機に入れて、その場に立ち尽くした。


「なあ‥十希夫‥」

「軍司さん‥まだいたんですか?(しかも全裸で)」

「今日‥泊まっていけよ」

「えっ‥」

「そして、このまま俺の嫁さんになればいいのに‥‥」

「軍司さ‥」

軍司さんはニコッと笑って(全裸で)、俺をギュッと抱きしめた。



「軍司さん‥‥俺はとっくに(嫁に)なってる気持ちでいましたよ。」

「と、十希夫‥!」

「‥俺は、軍司さんのパンツしか洗いませんからね」

「十希夫‥お前は、最高なお嫁さんだ!今日も子作り頑張ろうな。」


「‥‥‥‥‥‥その前に服、着て下さい」


なんだかんだ言って、
この人には俺がついていないとダメなんだな。


そして、俺も。


毎日、パンツ洗ってあげる代わりに‥もし結婚指輪をねだるのなら思いきり高いやつをおねだりしよう。

覚悟していて下さいね、軍司さん。



end

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