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□永遠の野原
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『永遠の野原』


「もう終わりにしよう」


俺は行為が終わってから、九里虎に告げたー


俺はお前と出会ってから気付いたんだ。


自分で驚く位‥
嫉妬もするし、
束縛もする。


嫉妬しててもしてないふり。

束縛したくても出来ない。


俺はドライでいるしかなかった


嫉妬なんかしねぇ

束縛なんかとんでもねぇ


お前が求めてきた時は、素直に応じる。


心を無にして、お前に抱かれ続けた


でも、

もう限界だよ‥


お前と一つになれる時は最高に幸せだった

感情には出さないが、お前が俺を必要としてくれているのが何より嬉しくて。

だから、
女が8人いても嫉妬を我慢出来たし、

束縛したくてもお前から連絡がくるまでは自分からは一切、連絡はしなかった。


お前に嫌われたくなかったから。


もう本当に限界だった。

本音を告げてしまえば、もうお前に抱かれる事もないだろう。

友達のままでいられるだろうけど、身体はもう必要とはされないだろう。


気が狂いそうだった

お前に抱かれる度に


嫉妬


束縛


独占欲


欲求


日々、増すばかりの俺の思い。


もう女の所になんか行くんじゃねえ

女達と別れちまえよ


俺だけ見ててほしい


俺だけに触れてほしい

俺だけのお前になってほしい


な、無理な願いだろ。

だから九里虎‥




「もう終わりにしよう」

「クロサー‥?」

「今日でお前に抱かれるのは最後だ。明日からまた、普通に俺の友達でいてくれよな‥」

「そげんこつ急に言われても‥驚くしかなかね‥」

わしわしと頭を掻いて、素っ裸のまま俯く九里虎。

「ニシヤ、ワシの事‥好かんと?嫌いになったちゅーことか?」

「いや‥違う。」

「じゃあ、なんね?理由も聞かんと、"はい、わかりました"とは言えんばい‥」


俺の決意は固かった。


「九里虎‥今から話すのが今までの俺の本音だ」

「ん?」

「女と別れろ、俺だけのものになれ、俺だけ見ていろ、抱くのは俺だけにしろ、ずっと俺の側にいてくれ‥!」

「クロサー‥」

「ふっ、だから言ったんだよ。終わりにしようって。お前には無理だろ」

九里虎は暫く俯いたまま、何か考えこんでいた。

俺はそそくさと服を着て、ホテルの部屋を出ようとしていた。

「クロサー‥」

「ん‥?」


「ワシな‥知っとったばい‥クロサーの気持ち。」

「‥‥‥っ!?」

「悪かったのう‥黙ってて。クロサーを抱く度になぁ‥クロサーの瞳が今、お前が言った事、そのまんまを訴えていたばい‥」


そうか‥そうだったのか‥俺はそんな顔で九里虎に抱かれていたのか‥

顔に出ていたとは‥な。


「だからなぁ‥いつそげんこつ言われるか‥怖くてなぁ‥とうとう、その日が来てしまったばいね‥」

「九里虎、ごめんな。俺‥こう見えて自分でも驚く位、嫉妬の塊でお前を束縛したくて、俺だけのものに‥なってほしかった‥」

「そげんこつ、無理やね‥」

「解ってるさ‥お前はそのままでいろ」


部屋のドアノブに手をかけると、九里虎が近づいてくる影を映したー


「クロサー‥本当にすまんかったばい‥」

そう言って後ろから抱き着いて、あいつはこう告げた。


「ワシが本気になったのはクロサーだけばい‥でも、他のおなご達は捨てられないけんね‥‥クロサーとは、出会うのがちぃと遅すぎた‥」

「ははっ、お前にしては上出来な言い訳だな」

「言い訳じゃなかっ‥!クロサーは永遠に俺の恋人だと信じていたけんね‥!!」

「サンキュ。こんな嫉妬心にかられた恋人だと、後々苦労するぜ。」

スルリと九里虎の腕を抜けて、部屋を出る。



「‥クロサー!」

「‥九里虎」



「愛していたよ」



翌日、
何事もなかったかのように俺達は学校でいつもと変わらない日常を過ごしていた。


End
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