捨てられ王子と古城の吸血鬼

□捨てられ王子と古城の吸血鬼3
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初めて自分から他人の口の中へと舌を入れたはいいが、どうすればいいのか戸惑っていると、オルツガルナの舌に柔らかく受け止められた。
濡れた粘膜を絡ませ、舌を深く吸い上げられる。
窄めた唇の中に誘われて舌を動かすと、強請られるように奥へと誘われ、唇を深く合わせた。
口を大きく開けたまま唇を合わせているからオルツガルナの口の中へ自分の唾液が溢れ零れていく。
それをあからさまにオルツガルナの喉にゴクリと飲み込まれ、モモは羞恥に体を震えさせた。

与えている、という実感があるからこそ、震えてしまう。
だけど、求められているから、必要なことだから、と逃出したくなる自分をモモは抑えた。
長い長いキスに、体が火照ってくるのに、オルツガルナの体はまだ冷たい。
自分を王宮の使者から奪い返すために、太陽の下に飛び出したバカなバンパイア。

本当にバカ・・っ
こんな、死にかけてまで・・追ってくるなんて、エサなんて、選ばなければいくらだってあるでしょう!?
なのに、なんで・・っ

モモは服を脱ぐために一度唇を離し、自分の服の前を開いた。
中に着ているシャツのヒモも解き、それから、オルツガルナの服も脱がす。

他人の服を脱がすことなんて、王子の世話で慣れている筈なのに、なぜ、こんなに恥ずかしい気持ちになるのか。
一枚一枚、服の前を広げていくのを、オルツガルナに見つめられ、緊張に手が震えてしまう。
結局、上半身を裸にしただけで、それ以上脱がすことは出来ず、体をオルツガルナの上に重ねた。
触れ合う肌から直接オルツガルナの鼓動がゆっくりと大きく響いてくる。
その肌の冷たさに、何かをしなきゃいけないと思うのに、恥ずかしくて動けなかった。
でも、こんな時に恥ずかしいなんて言ってる場合じゃない。
そうは思うけれど、どう動いたらいいのかと逡巡し、いつもオルツガルナが自分にしていた事をすればいいと思いついても、それが、恥ずかし過ぎて行動に移せない。
仕方無く、オルツガルナの体を抱き締めて、もう一度唇を合わせ、せめて唾液だけでも・・と出来るだけ深く唇を合わせた。
さっきまで酷く冷たく感じていた唇に、ほのかに熱が戻ってくる。
舌の表面もさっきよりもしっとりとして温かかくなってきた。
冷たかった体に熱が戻って来る。
それが嬉しくて、モモは夢中で自分から唇を合わせ、オルツガルナの舌に自分の舌を絡み合わせた。

「・・モモ」
夢中で何度も何度も唇を合わせていると、オルツガルナの手がモモの体をそっと押し返した。
うっとりとした顔で、オルツガルナの上から引き剥がされたモモは、濡れた目でオルツガルナを見つめる。
その表情にオルツガルナは苦笑を浮かべずにはいられない。
キスだけでぐずぐずになっているのに、次の行動を取れない奥手な従者に、オルツガルナは手を焼いた。
「お前な・・」
誰がキス攻めしろって言った?オレは飲ませろって言って・・
そう言いたくても、モモの目を細めた赤い顔を見ていたら、オルツガルナは何も言えなくなった。

もう、いい・・誰がこれ以上待てるか・・っ

モモの体を自分ごと反転させ、シーツの上に組み敷いた。
それから一気に服を脱ぎ捨て、モモの下衣も勢い良く引き下げると、ベッドの外へと後ろ手に放り投げる。
正真正銘、一糸纏わぬ姿でモモろ向かい合わせた。
あまりの事に、モモは口に手を当てたまま目を見開いて固まってしまっている。
「おい、おいっモモ」
オルツガルナが手の甲でモモの頬を軽く打つと、目を覚ましたようにモモが「わっわっ」と、身を捩ってオルツガルナの下から這い出ようとした。
「コラッまだ喰ってねえだろ」
両腕を開いて抑え付け、オルツガルナはモモの首筋に噛み付いた。
「ヤア・・ッ!」
肌にカリッと突き刺さる歯の感触に、モモはギュッと目を閉じて体を強ばらせる。
「モモ、逃げたら・・本当に噛むぞ・・」
そう言ってモモの胸に唇を寄せていく。
「ん、・・やあっ」
オルツガルナの長い髪がモモの肌をフワリとくすぐった。
その刺激にぞわぞわと鳥肌が立ち、オルツガルナの舌に舐られた突起が充血していく。
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