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□お泊りデート
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この部屋でオレと寝ている憂火が戦闘服集団に取り囲まれ、アワアワとする憂火を想像して、オレはニヤけそうになる頬を手で押えた。
「憂火。土曜日、服買いに行こうよ」
「どこに?」
「駅前」
「手短かにな」
「わかった。もう買う物は決めてるから、そんなに時間掛かんないよ。あとは家で映画見ようよ」
「わかった。今週の土曜だな」
そう言って、憂火がiPadの画面を開き、予定を書き込んでいく。
その画面をチラリと覗き見ると、字よりも○だの☆だののマークばかりが目に付いた。
その中でも特に目立つ印が黒い星のマークだ。
「これって何の日なの?」
聞くと憂火がオレの顔を見て、開き掛けた口を閉じてしまう。
「なんでもない」
「は・・?なにその感じ・・絶対今、言うのやめたじゃんか」
「いいんだよ。お前は知らなくて。気にすんな」
「え〜〜っそう言われると気になるじゃん。3日と14日と・・」
チェックしようと日にちを確認していると、憂火が画面を閉じてしまう。
「あーーーっケチ!憂火のケチ!」
「騒ぐな」
舌打ちと共に、憂火が体の向きをオレに直し、唇を塞がれる。
と同時に、温度の高い舌が、オレの口の中に這入ってきて、粘膜の弱い所をくすぐってくる。
「ん〜・・」
首の後ろを手で支えられ、散々口の中を貪られて、下腹がジリジリと疼いてくる。
「ずっと、そういう顔してりゃ、可愛いのによ」
口元をイジワルく引き上げた憂火が、オレの前髪を掻き上げて、そのおデコにチュッと音が鳴るキスをする。
「じゃあ・・ずっとキスしててよ・・。そしたら、大人しく、してるから・・」
両腕を憂火の首に回して抱きついた。
「お前な・・。オレを帰さねえ気だろ」
そう笑われて、そんな計画、お見通しなのかな・・と胸がチクリと痛む。
「帰んないでよ」
これは本心。
「オレが寝るまで・・隣に居てよ」
これは甘え。
憂火の大きな手がオレの背中をギュッと抱いた。
「置いてけって言われても、困んだろうが」
憂火の唇が耳に触れた。
首を竦めると、耳の中を舐められた。
「や・・っ」
更に、耳たぶを噛まれて、耳の後ろをキツく吸われる。
頭の中が熱くて、ボーッとして目が眩んで開けていられなくなった。
「添い寝だけじゃ済まねえぞ」
憂火にやさしく押し倒されて、オレは薄目を開けて憂火を見上げた。
黒い上着の袖から腕を抜き、ポイとそれを脱ぎ捨て、ネクタイを外す。
その間、視線はヒタと自分に据えられ、オレは身動き一つ出来ず、オレも憂火の顔を見つめていた。
「好き・・」
自然と口が動いてしまった。
「憂火・・好き・・」
手を伸ばすと、憂火の高い体温がある。
熱い肌が、オレの体を包む。
昂る身体を合わせて、キスをすると、自然と目じりに涙が込み上げた。
「居てやるから」
掠れた低い声に、耳を犯される。
オレのカラダは、もうずっと憂火だけを求めてる。
どんな言葉もどんな行為も、憂火なら特別。
特別なんだ。
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