splash!

□splash! 第4話 
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「睡蓮がホントに無事か確かめさせろ!」
「ああ?」
「声だけでもいいから!電話とか!少しでいいから!」
睡蓮を心配するリュウトの必死な顔に、憂火は分けも無く苛立ちを覚え、自分の襟を掴むリュウトの腕を逆に掴んだ。
「あいつは、もう修復用のカプセルの中に浸けられている筈だ。今からたった24時間で体の細胞を強制的に再生させる装置の中だ。なぜ、そこまで急ぐかわかるか?お前の傍に守護者がいなければお前はどうなる?悪意を持った神や精霊、妖怪共から狙い放題、もしお前が誘拐されれば、二度とこの家に戻れる保証は無い!半永久的に無数にある異次元の一角に拘束されて吊るされ、本当の意味での神の国への門として生きたまま腹を裂かれるぞ。無論、お前が死んだら意味が無い。無理やりにでもお前を生かすために無菌室に人工呼吸器と最新のペースメーカーをつけ手厚く保護してくれるだろうがな」
憂火に一気に捲し立てられたリュウトは青褪めた顔で呆然と憂火を見上げていた。
だが、憂火の苛立ちは収まらない。
自分の胸ポケットから小瓶を2つ取り出すと、上着を脱ぎ捨てた。
「裸になれ」
憂火の台詞にリュウトがビクリと体を揺らした。
憂火に羽織らされたYシャツの裾を握ったまま動けないでいるリュウトに、憂火は追い討ちを駆ける。
「睡蓮を助けてやった代わりに、お前にはしっかり役目を果たさせてやる。これでアイツが助かるんだから嬉しいだろう?」
リュウトは涙目になりながら一瞬憂火を睨みつけ、俯くと、意を決したように服を脱ぎ出した。
肩を震わせ、自分に背中を向けることでしか抵抗出来ないリュウトの姿に、徐々に憂火の苛立ちが収まってくる。
目を赤くした全裸のリュウトの背中を数秒見つめた後、憂火は頭を掻き短く溜め息を吐いてから、腕を伸ばした。
リュウトを背中から抱き締め、その首筋にゆっくりと顔を寄せ、唇を這わせた。
すると、リュウトの目から涙が零れる。
その雫が憂火の腕にポタリと落ちた。
憂火はリュウトの首筋から肩へと唇を這わせて行き、肉の薄い肩甲骨の骨の浮いた所を強く吸う。
と、リュウトの体がその感触と恐怖にビクリと体を竦ませる。
小さく淡く血の色に滲む『跡』を残したその背中を、憂火はやさしく強く自分の胸に抱き締めた。

コワいけど、怖くない・・。

リュウトは憂火の苛立ちに怯えながらも、憂火が自分を乱暴に扱うつもりが無い様子に安堵していた。
髪を梳かれ、何度も唇を押当てられる。
そのくすぐったくもある感触に、だんだんとリュウトの恐怖心も和らいでくる。

やっぱり、憂火はやさしくしてくれる・・。

それに直に感じる憂火の高めの体温が、リュウトの心を溶かしていった。
ただ黙ったままで憂火は何度も何度もリュウトの体にキスを落とす。
それから、リュウトの肩からすっかり力が抜けると、憂火はリュウトを自分の方へと振り向かせた。
さっきまでの恐怖に歪んだリュウトの顔とは別に、ただ目を赤くして戸惑うような顔のリュウトが憂火を見上げる。
クリクリとまるまったリュウトの毛先。
その髪を憂火が掻き上げ、リュウトの額へ幾度となく唇を押当てていく。
反射的に目を閉じるリュウト。
その唇に、憂火はそっと唇を寄せた。
唇と唇の隙間を埋め、数度合わせた後、憂火は噛み付くように激しくリュウトの唇を割った。
「あっ」
リュウトはその衝撃に反射的に憂火を押し返そうとしたが、背中に回された憂火の腕に強く抱かれ、憂火を押しのける事は不可能だった。
深く濃く唇を重ね、憂火はリュウトを飲み込んでいく。
熱くなる体にリュウトの力が入らなくなり、完全に憂火に抱き寄せられ、その腕に支えられてしまう。
唇を重ねキツく抱き締められたまま、憂火の手が忙しなくリュウトの体中を弄った。

うわ・・なんか、すごい・・っ
憂火の掌・・熱いっ

憂火はリュウトの腰を少し抱き上げ、ベッドへ座るように乗り上げる。
リュウトの背を壁に寄りかからせて、両手を壁に押さえつけると、今度はリュウトの前から首筋を吸った。
「あ」
無意識にリュウトが声を上げる。
憂火はゆっくりと首筋から鎖骨、胸へと唇を這わせ、時々強く吸い上げたり舐めたりを繰り返していった。
そのまだるっこくピリピリとした感触に、リュウトの息は上がり、拘束された手の代わりに足がビクビクと動いてしまう。
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