splash!

□splash! 第5話 
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命は尊い。
生きているという事は出会うという事。
それは、自分の想像力など微塵も及ばない程すばらしい出来事だ。






暮は睡蓮の入った銀色の体組織修復カプセルの前で、腕を組みもう3回もあくびをしていた。
「なあ、これいつ開く?」
暮は死神本部の医療チームのスタッフの一人に声を掛けた。
白衣にマスク姿の青年は、そのカプセルの前の札を目で読んだ後、小窓を開いてカプセルの中の様子を伺うと、
「まだちゃんとくっついてないですね・・。そろそろいい頃の筈なんですが・・、溶液が薄かったのかな?」
と、首を捻った。
「あ〜!?まだ終わんねえのかよ・・ったく!」
暮は自分の膝に頬杖をつき、その指でイライラと、自分のこめかみを連打している。
「まあ、仕方ないと言えば仕方ないでしょう。これは死神用なんですから」
と、青年はコンコンと手の甲でカプセルを叩き、そこから離れて行く。
「なあ、ここのシャワー使っていいか?」
暮は頭を掻いてから立ち上がり、ネクタイを緩め、上着を脱ぐ。
昨日の神社の事件から24時間、本部と八柱町を行ったり来たりで、暮は休むどころか一睡もしていなかった。

「いいですけど、洗濯は自分でして下さいよ」
「はいはい。」
暮がカプセルの前から消えると、その中の睡蓮がゆっくりと目を開いた。
青い浸透液の中で、睡蓮の全身が小さく分裂し組み合わさり、また自分の体の中へ戻る。原始細胞レベルで、細胞が立体的なパズルのように水中で何度も回転し組み合わせられ、美しく整うと睡蓮の一部となり再生する。
それが何かのプログラムのように延々とカプセルの中で繰り返されていく。
青い水の中で一層、睡蓮の水色の瞳がくっきりと浮かび上がっていた。






そして。
その頃の水橋家では。


暮の到着を待つ憂火は、再び素肌にスーツの袖を通し身支度を整えていた。
「リュウト」
呼ばれたリュウトは、目だけで憂火を見ると、またすぐ目を閉じてしまう。
「おい、そろそろ服を着ろ。アイツが帰ってくるんだろうが」
憂火はリュウトの寝ているベッドの端に座り、リュウトの頭を撫でた。
リュウトの手には憂火のYシャツが握られている。
着替えようとする憂火に、『洗って返す』と、聞かないリュウトが憂火から取り上げた物だ。
「おい・・いじけてんのか?」
「いじけてない」
即答するリュウトに、憂火は言葉が出ない。
そのままリュウトの頭を撫でていたが、不意に立ち上がるとベランダの外を覗いた。
その憂火の行動に慌ててリュウトは起き上がり、憂火の体に後ろから抱きついた。
憂火は外の天気を見ただけだったが、リュウトの行動に「まだ来てない」と苦笑する。
必死に自分を追いかけてくるリュウトを半身振り返ると、その肩を抱き寄せ、憂火は正面からキスをする。
舌を絡ませ、出来るだけ深く口の中で交わる。
「憂火・・」
リュウトが唇を離し、憂火の首筋を舐めた。
そして、少しずつ、少しずつ体の位置を下げていく。
その手をパッと憂火が掴み引き止めた。
「お前・・ヤルなって言ったろうが」
「なんで!なんで、オレがやっちゃダメなんだよっ」
リュウトは怒りながらも憂火のスーツの上から、ソコを自分の頬で擦った。
その仕草に憂火の中心は一気に膨れ上がる。
「リュウト!いい加減にしろっ」
憂火はリュウトの両腕を掴み、リュウトを立ち上がらせようとしたが、リュウトは憂火のソコを服の上から頬や唇でグリグリと押してくる。


シャレにならんワ!
フェラなんかされて、あっという間に逝ったらシャレにならん!


そう思っても、リュウトを力づくで排除する事も出来ず、ズルズルとリュウトの愛撫に任せて憂火自身が起ち上がってしまう。
「オレも・・憂火を気持ち良くさせたい」
スーツの上から唇を寄せるリュウトの姿に、憂火の足から力が抜けてしまう。
「オマエ、反則だろ・・それ」
額を押える憂火を見て、リュウトはそれが降参の合図だと解釈し、ズルズルと壁に寄りかかって座る憂火のベルトに手を掛けると素早く前をはだけさせ、起ち上がりつつある憂火の中心を口に咥えた。
「リュウトっ」
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