戦国BL

□kobamanute
1ページ/3ページ

片手で抱かれる事にも、もう慣れた。

始めのうちは、その手に触れる事がいけない事に思えて、あの最中には故意に触れないように気を使っていた。
だけど、どんなに密接に抱き合いお互いを求め合っていても、自分に触れてこないその右手の存在が胸苦しく、見ないようにすればする程、触らないでいれば居る程に、その存在感は大きくなった。
そして、ある日。
ついに僕は、力の入らないその手を取り、唇を添え、そこに舌を絡めた。
少し体温の冷えた手の指、一本一本指先から愛おしく舐めてしゃぶる。
「アンジ・・」
アキヒサの右腕の筋肉が強ばる。
少しずつ少しずつ、なんとか動こうとしてる。
僕の舌に舐められて、ぎこちなくアキヒサの指が震える。
その健気な動きに、僕は欲情した。
もしかしたら、ずっとこうしたかったのかも知れない。
動かないこの手に、僕は拒まれているみたいで悲しかったのかも知れない。

そんな僕を、アキヒサはジッと見下ろし、そして僕と目が合うと俄にその頬を染めた。
そんな愛らしいアキヒサを見たのは初めてだった。
いつもは僕の拙い動きにも、口元には余裕があって、どんなに激しく求めてくる時でさえ、その表情は理性を保っていた。
大人の余裕、経験値の違いを思い知らされて、恥ずかしくて死にそうになるのはいつだって僕の役目だった。
なのに。
僕がアキヒサの指の一本一本をしゃぶるのを見て、アキヒサが恥ずかしそうに顔を歪めたのだ。
その瞬間、僕の中に目覚めるようなものがあった。
アキヒサのこの顔が見たい。
もっとこんな顔にさせたい。
アキヒサが好きだ。
大好きだ。
自分の舌で蕩けたアキヒサの顔を見つめながら僕はアキヒサの上へ股がった。




それからは昼日中でも、僕はアキヒサの右手の指に舌を這わせた。
本当は昼間にスるのは好きじゃない。
昼間は人がそこかしこにいるし、自分の姿をどこも隠すことが出来ず暴かれるのが、酷く恥ずかしかったから。

だけど、逆に、僕の方がアキヒサのあの顔が見たくて、アキヒサの傍へ寄りアキヒサの手を取った。
それでも、アキヒサが僕の顔を見ない時には、動かない手を自分の股の間へと誘い、そこへ擦り付けた。
そうすると、気まずそうな顔でアキヒサが、僕の顔を見る。
それから、「全くお前は・・」と、舌打ちしながら、僕を膝立ちにさせて腰を抱き寄せると、僕の帯を口に咥え結び目を解いた。
それを合図に僕はアキヒサの唇に唇を合わせ、口の中で舌を交わわせる。
キスをしながら、アキヒサの片手が何重にも巻かれた僕の帯を引き抜いていく。
その衣擦れの音、緩んでいく着物の合わせが、お互いの欲望に火をつける。
「アキヒサ・・」
目を開けたまま唇を貪り合い、僕は両手で数枚重なったアキヒサの着物の合わせを無理矢理広げ、その胸元を開いた。
今までは、アキヒサにしろ誰にしろ、ずっと僕は攻め立てられる側だった。
だけど、今の僕はアキヒサをゆっくりと撫で回して、アキヒサの感じる場所を暴く事が出来る。
これが、きっと雄としての欲望なんだろう。
アキヒサの着物の前を広げ、その素肌に手を忍ばせるだけで、酷く昂奮して、自分の昂りが濡れてくる。
アキヒサの胸の粒を指の腹で捉え、舐るように押し潰すと、そうしているのが自分だというのに、自分もそうされているような感覚に陥って、胸の突起がヒリヒリとしてくる。
感覚がリンクする。
まるで自慰行為だ。
アキヒサにしているのに、自分がされているように感じるなんて、その快感が僕の体に染み付いているからかも知れない。
だから。
疼く。
アキヒサの体を愛撫していながら、まるで自分を攻めているかのように、体が疼いてくる。
そんな僕をアキヒサは口の端を引き上げて笑う。
「アンジ・・息が荒いぞ」
「うん・・っあ・・」
不意に与えられるアキヒサからの刺激に、僕の体は過敏に反応してしまう。
アキヒサに解かれた袴の中を探られ、まるで乳搾りのように昂りを擦り上げられる。
「ヒャ・・ッあ・・アッ・・アキヒサッ・・ッ」
「昨日の今日で・・これか。全く10代には敵わん・・」
そう言いながら、今僕の勃起を掴んでいた手で、今度は僕の後ろを攻める。
アキヒサの長い中指に触れられて、尻孔がヒクヒクと震えながら開いていく。
「そんなに欲しいか?」
アキヒサの声に笑われて、僕はアキヒサに強く抱きついた。
やっぱり恥ずかしくて死んでしまいたくなる。
どんなにアキヒサに欲望を抱いても、結局は自分の方が押されてしまうのだ。
いつの間にか形勢は逆転。
その上、こんな昼間に強請った罰か、アキヒサは僕の体の中へ這入っては来なかった。
「アキヒサ・・?」
息を喘がせ、熱の上がった体を持て余していると、後ろへと押し倒された。
そして膝を立てて、股の間を大きく開かせられる。
「いい眺めだ」
「やだ・・っ」
思わず、膝を閉じようとすると、それをアキヒサの手が阻む。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ