太陽と魔女。
□騎士様と王子様。
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「ふぇふぇ〜…はんふぇ〜」
ナルシッサとルシウスはクスクス笑っていた。対するドラコとセブルスは至極不機嫌だった。
「あんにゃふぁゆ〜……ひっく」
酔っ払い姫。
千代はパーティーでセブルスにエスコートされていたのだが、目を離した隙にシャンパンからワインに変わっていたグラスを見てセブルスとドラコは目眩がした。
酔っ払い姫はセブルスに抱き着き離れず、パーティーを抜けるきっかけにはなった。
「部屋で休ませてくる」
「あぁ、セブルス。出歩かないよう見ていてくれないかね」
「…………………わかった」
長い間が語った言葉にルシウスは苦笑いをした。千代を背負いフロアを出る。中とは違い静かで少しホッと息をする。
「んやぁあた」
「………はぁ」
万が一警備が顔なじみでなければ誘拐だなんだと言われていただろう。
深くため息をつく。
最近の千代は色目をつかうように感じて戸惑っている。
彼女を好いていても許されないだろう感情だと理解している。
記憶を失う前…彼女は私をどう思っていた?
そればかり考えてしまう。
ため息を再びつき、ドアノブをつかみため息をつく。
「りどりゅ…………」
「………っ!?」
彼女とトム・リドルが愛し合っていた事実。
彼女は最後までトム・リドルの味方だった。彼が壊したくないと思う程愛されていた。
千代の顔が見えない…横を向くと気持ち良さそうに眠っていた。
「…たぅぴょびょ……にやぁー」
部屋に入り、ベッドに下ろ布団をかける。
うっすら目を開けた彼女は起き上がり、ぶわっと泣いていた。
「だ、め……や………………」
「千代?」
ハッとしたように起きると千代は困惑したような表情を見せ抱き着く。
「……どうした?怖い夢でも見たのか?」
首をふる千代そっと頭を撫でる。
彼女は知らない筈だから。トム・リドルなんて名前。教えていない。
聞こうと口を開くと顔を上げる千代。
「千代が、消えちゃう夢だったの…」
その言葉になんて返せばいいか解らなかった。
「消えちゃう……夢?」
「悲しかったの……寂しかったの………でも、どうすることも出来ないから…私は…もどかしかった」
「……」
「でもいいの…セブが…死ななかったから…消えても…………いいの」
すぅすぅ眠る千代。
何故か胸騒ぎがした。