太陽と魔女。

□はじめての土下座。
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彼は苛立っているのか憤慨しているのか悲しいのか解らなかった。壁の花をして、ぼんやりワルツを見ていた。
本来なら隣に居た少女。






クリスマスパーティー当日。
賑わうホール。着飾る男女。




その中には居ない事をしられていない彼女が居た。


グラスを持つ指に力が入る。
ポッターをからかう気にもならない。ウサ晴らしにパンジーと居たがダンスを断った。



雪が積もるテラスに出て拳を手摺りにぶつける。




そっと、四つ葉のブローチに触れる。















「みて!ドラコっ真紅のドレス!シンプルで綺麗なの!ベルベットだし!すごいわ」

ゴイルがパジャマに着替えドラコも寝ようとしていた時だった。
少女はベビードールを身に纏い真っ赤なドレスを抱えていた。

素早くゴイルを気絶させ、久しぶりに会う千代に怒りを堪えた。


「母様が今年用に!」

「着てみないのか?」

「だーめ。それは当日よ!だからね、楽しみにしていて、ダンスもかなり上達してきているの」


千代の頭を撫でると彼女は抱き着く。
謝る言葉に胸が打たれる。

仲直りをしたかった自分にとってはホッともしていた。


そんな事もあった、今となれば茶番劇に思える。
昨日、夜中に会うと千代はゆらりゆらりとしていて何処か焦点も会わず虚ろだった。

月も隠れて真っ暗になると彼女は呟いた。




「明日は出られないの…ドラコ…」

「はぁ!?なんでだよ」

「"アッチ"に呼ばれてるから…行かなきゃならないの」

「っ…」





君の世界が変わっていた。





「千代…僕を……」



「ん…?」












君の心が読めたら聞けたら。















君は、失わなかったのだろうか。
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