blunder-mark.
□俊敏と鈍さ。
6ページ/6ページ
目覚めた彼女は起き上がり首をさすり酷く八つ当たりをした。
ぎゅっと抱き着き、震える彼女の頭を撫でる。
「家に等帰る必要はない」
「先生のせいで…私…私…」
「私の娘に」
「え、っ…」
ますます涙を浮かべ睨みつける。
振り返ると肩に手を乗せ唇を重ねる。
「先生も…酷いわ…………ずっとポッターにヤキモチ焼いてたのに…」
飛び出そうとドアの前に走り、開かない事に泣き崩れる。
「あか、なぁい…」
「神村」
「……先生の傍に居たいでも…私、お家に帰らなきゃ…」
「神村!」
「娘は嫌っ!」
抱きしめた小さな彼女は震えていて、泣いていて。
―…先生を愛してるの
呟く彼女は多分愛し方を知らなくて困惑しているんだろう。気持ちが良く解る。
こんな、小さな生徒に。
「私は…お前が好きだ」
溢れ出す涙は止められない。
抱き着き、離れるのが怖いと言う。温もりを知らない彼女と知って失ったからこそ自分だけは彼女を理解してあげられる。
魔法を解く魔法はそれだけ。
「っ、せん、せい…」
「千代」
「こ、れっやだ」
「まだ平気だろう」
千代が半泣きでしているのはダンスの魔法がかかった靴で二時間ぶっ続けで踊っていた。
「か、んべ、を…し、ひぇ…」
今回の罰則は才能皆無で高飛車を作りながらダンスというダンスをすべて断り続けていたと知り彼女の罰則はダンスに変わった。
ヘロヘロになりながらカーテンと踊る千代。
スネイプはにやりと笑いながら止めると千代はカーテンの上に倒れる。
「千代」
「は、い…せ、んせぇ」
「さぁ、手を」
「む、無理ですっ」
「本番で恥をかきたいのですかな」
「…スネイプ先生、やっぱり私は辞退します…毎年誰とも踊らないんですから誰も不思議がりませんよ」
起き上がりながら言う千代。相変わらずスリザリンのお姫様扱いは変わらない。
「それに…ワルツがワルツがワルツがワルツがっドラコに一度練習をお願いした事があるの。そしたらなんて言ったと思う…お前着痩せするんだなって…思えばあの日から私ダンスが苦手になったのかもしれない…だってカーテンと完璧に踊れたもの」
「…」
「待って、カーテンの気持ち考えなかったからかも?なら、私考えなきゃ良いのかも…」
「少し待て、ドラコがなんだって?」
「…お前着痩せするんだなって鼻で…フッって」
「何時練習したんだ?」
「前に話した大喧嘩っていうのがダンスに誘われ…断ったら喧嘩になったんです…秘密の変わりにダンスをって言われたんですけど…事情を話して、練習したんですよ…代役をパンジーにお願いしましたけど」
見た目が痩せすぎているからだろう。だから、良い意味で着痩せすると言ったのだろうが。
女の子とはデリケートだ。
そうつくづく思った反面、ドラコとの親しさにジェラシーを感じた。
カーテン相手にダンスする千代。
裸足で上手く踊れている。
ブロンドが靡き、微笑む。
家に帰らない彼女をダンブルドアは許して私が匿っている。
自由になった彼女は優しく笑った。
サソリの鎖から…
「だから、ダンスは―…」
「今年は最後だろう、スリザリンではお前を取り扱い何が起きているか知っているのか?」
「パンジーが興奮しながら…」
「…今頃チェスの景品にされているかもしれぬな」
「最悪…ちょっとドラコを」
「私と踊れば良い」
「せ、せ、先生が恥をかきますよ!」
「そのための練習だ」
「カーテンは足無いもの!踏んでも顰めないですし!」
「カーテンとは何十回と踊るのに私とは断るのか、ほぅ。ならコレも罰則だ。さぁ、お嬢さん」
渋々カーテンを離す千代。俯き離れる千代の顔が真っ赤になっていた。
翌日ドラコは千代にフラれ、スネイプ先生が足を引きずっていて、千代が物凄く機嫌が悪かった理由は…
誰も気づきはしないだろう。
「先生近いです!ぁ」
「っ!集中しろ」
「ど、どっちにですか!?」
「二択ある理由を教え願いたいですな」
「ぁ!ごめんなさい!」
「っ…もう平気だ」
「もしかして…麻痺…」
「お前は私以外と踊れぬな」
愛され愛する。
初めての二人。