blunder-mark.
□エンドロール
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「…セブルス……リリーに」
我輩が知る彼女はとにかく我が儘、泣き虫だ。
スリザリンの彼女はルシウスに懐き、幼なじみだというのもあり、リリーが大好きだった。
「リリーが…ポッターと付き合うって…」
泣きながら言う彼女に苛立った。そんな報告聞きたくなかった。
「僕には……関係ない!」
彼女は驚いた顔をしてぴたりと泣き止む。
その時顔を上げた彼女の頬や指に包帯や絆創膏だらけだと気づく。
「セブルス…ごめ、んねっ!わ、私、ちょっとルシウスのとこ行ってくる!」
「ぁ、ま―…」
ひらりと翻ったローブは泥がついていた。
彼女はルシウスに泣きわめき"甘える"奴の傍では子供みたいになるのを知っていた。
ナルシッサが千代を見て怒鳴りに来るのは時間の問題。
掴み損ねた手を下ろし、下唇を噛む。
自分は悪くない。
言い聞かせる。
リリーを遠くで見る千代。
廊下で立ち尽くし、横を通り過ぎると酷く泣きそうに顔を歪め走り去る。ルシウスに泣きに行く。
展望台で彼女は苦しむように泣く。ルシウスとナルシッサに挟まれ子供のように。
姉のようにリリーを慕っていた千代。
寮が違う事が別れる理由なんて彼女には理解出来なかった。
彼女には二段ベットの上下ぐらいだったのだろう。
距離なんか感じて、意味なんか感じていなかった。
「千代…なに、がだめなの?スリザリンだから?なんで、だめ、なの……なんで…」
彼女は年々"なんで"を言わなくなった。変わりに。
「仕方ない」
ため息混じりに笑う。
彼女を大人にさせたのは理解出来ない"理不尽"だった。