古本屋と白い地下室。

□Queen.
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眠りから覚めた時。
既に一ヶ月が過ぎていた。
ため息をついて賢木によっ掛かりふらふらとする。
帰らなきゃ、帰らなきゃと言い聞かせ。
踏ん張る。


「千代!まだ無理するな」

「大丈夫ですよ…これくらい」



賢木に抱き上げられ、抵抗するが無視されよっ掛かる。


「ありがとう…賢木さん」


「熱があるから上で休め」

「はい…」




眩しい日の光り。
今はちょっと怖い。
局長が傍に来て騒ぐが賢木さんが止めてくれて、一息つく。
あっという間にチルドレンや月花、皆本さんに柏木さん達が来てため息をつく賢木さんにくすくす笑う。

賑やかなのは好きだから。


「千代…大丈夫か?賢木に何かされたのか?」

「いえ、任務中に倒れただけです。寝不足でしょうか、ね」

「熱があるみたいね、風邪かしら」

「そんな大層なものじゃないですよ。反動です」

「反動?」

「私もおばあちゃんですから」



三人が抱き着き、違う違うと各々言うのを見て千代は悪戯っ子のように笑う。


「千代…」

「貴方まで心配かけましたね…月花…学校は慣れましたか?」

「えぇ…楽しいですよ」

「よかったぁ…」

「ほーら!お前達!少しは千代を休ませてやれ!夕方には返すから、しっしっ」




そう言って賢木が追っ払うと皆本が千代と目が会い不思議に反らしてしまう。
よかった、彼女が消えてしまわなくて。
本音がもれそうな口を手で押さえて部屋を出た。
賢木も部屋から居なくなり静まる。


「千代」




名前を呼ばれ目を開ける。



「どうしました?」




「真木を寄越す」




「なんともありませんよ」

「千代!」


「ありがとう、今まで愛してくれて…私も愛していたわ」


「っ」



「行って良いのよ…私を忘れて良いのよ京介」






幸せな日々が貴方にありますように。





























「千代…?」

「あぁ、賢木さん。私はこれで失礼しますね!夕食の支度をしなくては…」

「熱は…下がったな…気をつけて帰れよ?」

「はいっ!」









スーパー寄って買い物をして。月花がテレポートして来て荷物を運んでくれた。
私は腕に抱き着き、涙を堪えた。


私と貴方によく似てる。
いぇ、顔立ちは彼に似てるわ。
まだ、幼かった彼に。
髪型が違うから誰も気づかないのかだれども。



「月花。貴方は真木の傍で…少佐の傍で学びたかったのよね」

「…突然ですね…私は…貴方について来たまでです」

「嬉しかったわ…ふふ」

「なんです?急に…」

「え?噛み締めたくなったんですよ幸せを」



月花は困ったように笑みを浮かべていた。
幸せそうな泣きそうな千代を見て。
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