恋して、愛して。

□恋して、愛して。
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「・・・」



今、私の手に握られているのは帰りのHRに返された満点の答案用紙。





本当ならうれしいはずの点数…


いつもの私なら間違いなく喜んでいる点数…


なのに今の私は、どちらかと言うと憂鬱だった。






「はぁ…」



満点をとったということは


もう



先生との補習がなくなるってことだよね



やっと先生と話せるようになってきたのに…






先生だってあんなに褒めてくれたんだもん

これは喜ぶべきなんだろうけど


もう、あの時間が過ごせないと思うとやっぱり寂しくて…


素直に喜べない自分がいる。





「かえろっかな…」



いつまでも教室にいても仕方ないし


帰ろう。







さっきまで日直の当番の人がいたはずなのにいつの間にか教室には私1人だ。



いつまでも教室にいても仕方ないので
帰ろうと椅子から立ち上がると同時にガラリと開かれた教室の扉。



「櫻井ー…いたっ!!」

「せんせい?」



そこには私の大好きな先生がなぜかいて


「櫻井の靴まだ靴箱にあったからさ、教室かなぁって来てみたんだよね」


そういいながら

ニコリと笑う先生。




「探してたんですか…?」

「ん?まぁ…探してた感じかな(笑)」

「?」



私、なんかしたっけ?

今日は日直じゃないし…

なんだろう

なんか先生に迷惑かけたのかな?

それとも怒られるようなこととか…



そんなことを頭の中で考えていたら






クスクスと笑いだす先生。

「べつに説教とかしにきたわけじゃないからそんな顔すんなよ(笑)」




そう言って

おかしそうに笑いながら私の頭をポンポンと撫でる先生の手が


私をさらに恥ずかしくさせるには十分すぎるほどで…

一気に顔があつくなるのを感じる。



うぅ…今のあたし絶対真っ赤だよぉ







「そっそんなに変な顔してましたか///?」



恥ずかしさのあまり

先生の手から逃れるように後ろへとさがる私の身体を気にも留めず

いたずらに成功した子どものように笑う先生。



「ひみつ(笑)」






あぁ…


先生ってこんな表情もするんだ…



こんなに無邪気に笑う先生は初めてみた。




「櫻井ってよくいじられるでしょ?」

「え?なんでわかるんですか!?」

「んーなんか反応がそんな感じ(笑)」

「…よく言われます…」


やっぱりなー

櫻井いじりがいある!





なんて少し問題発言をしているような気はするけれど


無邪気に笑う先生はやっぱり



かっこいいな…
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