往復書簡

□往復書簡
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月森孝介さま

図書室ではお静かに。
と言いながら、ついつい盛り上がってしまったりするんだよねー、カウンター当番。騒いでる声を覚えられてたなんて、ちょっと反省。
そんな私が今や委員長ですよ。
時には注意もしないといけない立場になっちゃったけど、去年は自分も同じだったってことは心に留めておこうと思います。

さて、今日もおかえりなさい、月森くん。
立派な大根をありがとう!
トマト、ナス、キャベツ(これは話だけ)と来たから4だね。第4弾。

すぐに少し切って野菜スティックにして頂きました。シャッキシャキでおいしかった〜!
スーパーのよりちょっとワイルドで、どこか懐かしいような、まるでダイコンの原点にカエレルような〜
って、お父さんみたいなこと言っちゃった。

今日もまたこちらは雨なので、夕飯にはおでんをリクエストしました。
大根たちは今ごろ、母にコトコトとゆでられているはず。
できるなら自分で料理したかったけど、今日は当番じゃないし、それよりなにより来週の月・火がなんと校内模試なんですよねー。

もー、勉強しなきゃとは思うんだけど、全然捗らなくて、私も目の前のことからほんの少し心を逃がして、手紙を書いています。
なんて、一緒にしたら失礼かな?
でも、月森くんの言う通り、そういうのって必要なことだと思います。困難ばかり見つめない。

菜々子ちゃんや叔父さんのことに加えて町の様子もと、心配事が次々重なって大変そうだけど、大丈夫ですか?
少しでも気が紛れたらいいなと思って、私の周りの「日常」をお知らせします。
でもそんなの読む気分じゃなかったら飛ばしてね。
手紙が行ったり来たりしている間に、状況がよい方向に変わってくれていることを祈ります。


OKかな?

ではあらためまして、私の変わらない日常、そのいち。
肉丼はとてもおいしくできました。特に父が喜んで、がつがつ食べて、おかわりまで。
それを見た母が「男の人ってこういうの好きよねー」と言っていて、なるほどなーと思うなど。

そのに。
図書室のコンピューター化にあたって、本につけるバーコードの帯の色を委員のみんなで決めました。
学校カラーっていうのかな、そういうのがあれば一も二もなく決まったんだろうけど、うちの学校にはないし、だからといって定番の青や緑じゃつまらない。
じゃあどうしようかって話してたら、司書の先生からは奇抜な色はやめてくれと注文が。(のちのちのインク代がかさまないように、だそう)
というわけで、カタログに基本色として上がっているものの中から、カンカンガクガクの議論の果てにひとつを選びました。
どんな理由で何色になったか……。
それは、来年登校してのお楽しみ!

そのさん。
我が家の小さな庭に、今年も 山茶花 が咲きました。読める?


そんなところかな〜。平々の凡々。
そして、そろそろ私はお勉強に戻らないとですねえ…。
うー、なるべく楽しい話を書きたいと思うのに、ため息しか出ない。実力テストだから範囲らしい範囲もないし、いったいどこから手をつけたらいいのやら…。

模試の先にうっすらと「進路」の影が見えてるのもユウウツ。
大学に行くつもりではあるけど、それ以上のことはまだなにも考えてなくて、そんな「なにも考えていない自分」を突きつけられるのが辛い。
というか、それが嫌ならちゃんと考えればいいって話なんだけど、どうもまだ向き合う気持ちになれなくて。

月森くんは、進路の希望って決まってますか?

宮本美織
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