往復書簡
□往復書簡
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宮本 美織 様
どうも、月森です。
実は今、中間テストのまっただ中なんですが、勉強は横に置いてこれを書いてます。いつもみたいに終わらせてからって、どうしても思えなくて。
いきなり脱線するけど、日曜挟んで6日間の中間って長いよね?1日の科目増やしていいから短くしてくれないかなぁ。
うん。
何から書き出そうか、なかなかまとまらなくて弱ってたんだけど、やっと見えてきた。
ありのままが一番いい。思ったまま、感じたまま書く。別にこれまでも取りつくろってたわけじゃないけど、今日はなんだか、素直になるのに時間がかかった。
まずは新図書委員長にお祝いを。
おめでとう。
俺も一票投じたかった。
中庭の金木犀と言えば、それこそ去年図書室で、どこから薫ってくるのか分からずに窓の下をのぞいた覚えがあるよ。今年も、図書室は秋の匂いでいっぱいなんだね。
弱虫先生は「愉快な仲間」まで読んで既刊分を読破。
厚着、隠れ、泥酔の三先生の中では、俺は隠れ先生が好きだな。
りせファンの彼は本当にすごいね。
地元の人でも、ライブのこと知らない人多かったのに。
最前にいたノリ慣れてる人たちの中かな。俺も全く気づかなかったよ。
まぁそもそも客席を見る余裕が…ね。
感想の着眼点もマニアックでいいなぁ。俺たちの拙い演奏を好意的にとらえてくれたのは有り難い。
ファンの愛は深いね。
それにしても世間は狭い。そのくせ広い。
男勝りさん、りせのファン、こんなにニアミスしてるのに、宮本さん本人にはきっと来年まで会えない。
「やっちゃった」ダイブのことだって秘密にするつもりだったのに、知られてるし。
でもあれも、いい思い出。
俺は、ちゃんと着地したしね。
あんな風に馬鹿やって笑う日が俺に来るなんて、越してくる前には思いもしなかったよ。稲羽ではとにかく信じられないことばかり起きる。
死ぬほど緊張したけど、楽しかった。
で、
最後に、質問の答え。
彼女はいません。
はー。
書いてしまえばこれだけのことなんだけど、さんざん書きあぐねて、落ち着かなくて。
なんでこの質問だったのか、とか。
というか、今まで俺の方こそ意図の分からない質問ばかりしてたね。なんか、ごめん。反省してます。
もしかして宮本さんこそ、彼氏出来た?
じゃなくても、気になる人とか…。
あー。
いつもこんなナゾナゾみたいな気持ちにさせてたのか。
宮本さんは受け流すのが上手いね。
いや、受け流すだと言葉が悪いか。受けとめる、懐が深い…。
まぁいいや。とにかく、書くことも書いたし、腹をくくって封をして、散歩ついでに投函してから試験勉強に戻ります。
明日のメインは生物。
月森 孝介