往復書簡

□往復書簡
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月森孝介さま

春からこっち、文通のアナログ感を楽しいと思ってきたけど、今回は初めて、避けようのない時差をとてももどかしく思いました。

報道されている以上のことはないってわかっていても、どうしても気になって気になって。よっぽどやきもきしているように見えたのか、母に肩をもまれちゃったりなんかして。
「便りがないのは無事な証拠〜」って、おまじないみたいに言われました。

ほんとに、無事で良かった。

ポストに封筒を見つけた時には、それだけで安心したよ。中を読んで、もっと。いろいろ大変な時に、私のことまで気にかけてくれてありがとう。

それにしても、手紙すら身近でなかった時代の人は、どんな気持ちでいたんだろうね。遠く離れるときは、今生の別れみたいな気持ちだったのかな…。
それこそ織姫と彦星だって、一年に一日の他は何もないんだもんね。うん。曇りなら会ってるね、きっと。なにがなんでも。

なーんて言いながら、こちらもすぐに返事しなくてごめんなさい。
三連休のバイトがほんっとに忙しくて…。

片付けても片付けても湧き出るお皿をトレイに積み上げながら、妙に冷静に、目が回るってこういうことなんだーなんて実感してました。毎日へとへとで、帰りの電車で本を開く気にもならないくらい。
お盆はもっとすごいらしいので、早く仕事に慣れて、その日に備えたいです。
がんばんなきゃ!

月森くんも頑張っていること、今回の手紙でよく分かりました。
事件に対して本気で向き合っていることも、気持ちをひとつに、同じところを目指している人たちがいることも。
もう、あーだこーだ言いません。
お料理のウデを磨きつつ、信じて待ってます。
どうか良い結果が訪れますように。

ところで、ニュースに出てた八十神高校っていうのが、月森くんの学校なんだよね?
制服がすごくお洒落でビックリ!亡くなった先生も良い色のスーツを着てらしたし、稲羽ってそういう、繊維業とか盛んなところ?

千鳥格子の詰襟くんたちの中に、月森くんがいないかなーって、穴が空きそうなくらいテレビ見てました。あはは、怖い子。

いま、期末テストまっただ中だよね。
そのまま夏休みになるの、羨ましいなぁ。
先週は消化試合すぎて、授業中眠くてしかたがなかった。たぶん今週も。エアコンの風がまた、疲れた体に気持ちよくってさー。

あぁ、ごめん。
もしかしなくても、私、眠いみたいです。
今日のところはこれでおしまいにします。
おやすみなさいっ!

宮本美織
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