往復書簡

□往復書簡
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宮本 美織 様

丁寧なお返事、ありがとう。
あの時はそれしか考えられなくて、つい色々と書いてしまったけれど、けっこう困らせる内容でしたよね。反省してます。

現実離れした話なのに、信じてくれてありがとう。マヨナカテレビ、やっぱりそちらでは何も映りませんか…。

それにしても宮本さん、「運命の人は自分」って、なかなかするどいですよ。

おかしなところに首をつっこむなとは、叔父からも言われました。
刑事をしているだけに、叔父もするどいです。

それでも、これは、俺たちにしかできないことだから、俺たちがやるべきことだから。だから、追求はやめません。心配させてごめん。十分気をつけます。
とりあえず、あのあと起きた問題は、無事解決しました。

それから、図書室にほぼ日参していたのは、自宅に帰ってもひとりだったからです。
うちの両親は共働きで、いつまた転勤するとも知れず、そんな俺は部活もバイトもするべきじゃないと、去年はそう考えてました。

がっかりさせるかも知れないけど、本が目当てというわけではなかったので、開いていても読んでいないことの方が多かったです。何を選んでいたか、自分でも思い出せないくらい。

うるさすぎない空間で、人の気配を感じているのが好きでした。
立ち居振舞いは静かなのに、明るく笑う当番さんがいるなと思って名前を覚えたのが、宮本さんです。手紙が来た時にはまさかと思った。何度も言うけど、嬉しかったです。ありがとう。

稲羽に来て、大きなものも小さなものも、縁は無数にあるのだと知りました。自分のものになるかどうかは、誰かに決められるんじゃない。自分に委ねられているんですね。

これぞと思ったら、人も物も事も、掴む。

昨日は部活仲間から本をもらいました。
間違えて買ったというのを「いるか?」と言うから、これも縁だと思って引き受けてみたら、なんと「魔女探偵ラブリーン」です。これから、読んでみようと思います。

あと、家庭菜園も始めました。
顔見知りになった奥さんとそんな話をしていたら、折よく菜々子が学校で苗をもらってきたので、これもまた縁だなと。

我が家の初物、一緒に送ります。
ソウルトマトっていう種類で、小さいけど栄養価が高いそうです。
なかなかおいしく出来ました。

月森孝介
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