往復書簡
□往復書簡
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月森孝介さま
二日間どうお過ごしでしたか、月森センセイ。
なんてね。なんだか、そう呼びたい気分。
手紙、昨日届いて、読んでて、胸にこみ上げるものがありました。泣いてはいないけど!
ありがとう。
せっかく想ってもらったのに、私、彼のこと嫌な思い出にしちゃうところだった。
そうだよね。彼だって、きっと悩んだはずだよね。
伝えてくれたこと、今からでもちゃんと受け止めないと、二重に失礼になっちゃう。
よそゆきの私も私だってことは、分かってるんだ。
「私じゃない」はそこを否定しようとしたんじゃなくて、そうでない私も知って欲しかったって、そういう気持ち。
それは彼だけじゃなくて、お店の人みんなに。
当たり前なんだけど、繁忙期のレストランバイトってピークタイムの為に配置されるんだよね。
お客さんが少なければ、コストにならないように早上がりさせられるくらい、徹底して。
だから時間中はとにかく働くばっかりで、ちょっと雑談…とか、する余裕ほとんどなくて。
毎日会っていても、いつまでも当たりさわりのない話しかできない。
一緒に働くお互いのこと、本当に表面的にしか知らなくても、お金って稼げるんだなって思った。
仕事は楽しかったけど、そこがちょっと寂しくて。こういうのって、子供の理屈なんだろうけど。
でも今思えば、しょうがないって諦めないで、そういうもんだって決め付けないで、自分から動けば良かったんだね。
例えば私が本の虫だとか、せめてそんなことだけでも知っててもらえたら、もう少し言葉と態度を選んで断れたかも。
とにかくありがとう。
月森くんがいてくれなかったら、他に誰にも話せなかったと思う。
私もいつか、どうしても伝えずにいられなくなるくらい、誰かのこと、思えたらいいな。
ところで、稲羽ライフを満喫するうちに忘れてしまったんだね。ウチの学校の二学期は8月の最終週からだってこと!
9月1日にして、はや二学期4日目。
30日にあった課題テストが返ってきて、結果のまずさにため息ついてます。
ほとんど勉強しなかったから仕方ない…。
でもって、今は復習より文化祭!
来週末に向けて着々と準備中です。
うちのクラスはアイスの模擬店出すんだ。
晴れるといいんだけど。
宮本美織