薄桜鬼

□沖田のお見舞いに行く
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「君、警戒心なさすぎなんじゃない?こんな時間に男の部屋に来るなんてさ」

「沖田さん…!」


土方さんに自室で安静にしているよう言われていた沖田さんが心配で、私は夜な夜な彼を訪ねた。

こんな時間になってしまったのには理由がある。
本当はもっと早く来たかったのだが、土方さんの許可が出なかったため、こうしてこっそり来る形になってしまったのだ。

しかし部屋に入って早々、私は沖田さんに壁に押し付けられてしまった。


「体調、良くないんじゃないですか…?起きてちゃ…」

「君に来られたら、おちおち寝てもいられないよ」

「…え」


いつもみたいに意地悪く笑うと、彼は緩やかに手を動かして私の髪を梳いたり、頬を撫でたりする。

それが心地良くて、恥ずかしくて、くすぐったくて、彼の手に自分の手を重ねた。

障子から洩れた月明かりに照らされた沖田さんが、いつもと違う雰囲気を放っていて、つい見惚れてしまう。


「どうして沖田さんの手は、こんなに優しいんですか…?」

「それは、明日香ちゃんに触れているからだよ。君こそ、どうしてこんなに綺麗なの?」

「沖田さんを、見ているからです…」

「…明日香ちゃん」


まるでそうすることが当たり前かのように、私達はお互いの頬に手を添え合い、どちらからともなく引き寄せ合った。


「…ん、はっ…」


深く長く交わされる口付けは、周りの景色よりも現実的で、今だけは彼を感じることを許されているような気がした。


「…ふ、んぁ…!」


口付けたまま、沖田さんの長い指が、器用に私の着物をはだけさせていく。

頭が朦朧とし、体から力が抜けた私を、沖田さんの腕がしっかりと支えてくれた。
それだけで私の体は、もうされるがまま。
敏感なところを撫でられ、舐められ、だらしなく開いた口から、喘ぐことしか出来なくなっていた。


「…ぁんっ、おき…た、さ…」

沖田さんは、私の反応を楽しむように膨らんだ胸の頂を交互に吸い、舌で弄んで見せる。


「…ゃっ!そこ、は…だ、めっ…んっ」


汗ばんだ肌を着物が滑り、二人の足下に落ちた。


「明日香ちゃん、本当に綺麗だよ…」

「…あんま、り…みちゃ、いやです…」

「大丈夫。全部綺麗だから」


囁いて微笑むと、沖田さんは体をぐっと密着させた。


「…ゃんっ…ぁぁあっ!」



桜は満開が一番美しい。

でも満開が美しいほど、散り際は更に美しいもの。
精一杯咲いた分美しく、潔く散ろうとするから。


だとしたら私達はまるで
儚く散りゆく桜のようだと思った――




            終

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