薄桜鬼

□藤堂くんと女の子の日
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「あ………!」


この時代に来て何ヶ月が経っただろう。

しかし、コレがきたということは、思ったより月日は経っていないはず。

突然の激しい腹痛と頭痛、目眩に襲われてトイレ…らしい厠に行ってみると、案の定ソレだった。





女の子の日






時間の感覚がわからないこの時代でずっと不安だったが、まさかこんな時にきてしまうなんて……

どうして女の子に生まれてしまったのだろう。

私は、大きくため息をついて厠を出た。



ズキッ…ズキッ



痛みに顔を歪ませ、ふらふらした足取りで縁側を歩く。

屯所に女の子は私一人の為、相談出来る人もいない…。
それに、こんなことで迷惑もかけたくないから


「明日香ー!」


屁っ放り腰で歩いていると、後ろからどたどたと足音を立てて、藤堂君が走ってきた。


「…藤堂君」

「昨日さ!巡査ですげぇ美味い団子屋見つけたんだ!一緒に行こうぜ!」


満面の笑みで両手を取って急かす藤堂君に調子が悪いとは言い出せず、引かれるまま足を動かした。


「痛っ……!」


すると、目眩で足が縺れ縁側に倒れ込んでしまった。


「明日香!どうした!?」


膝をついて支えてくれる藤堂君。
脂汗が滲み、体に力が入らない。
そんな私の内股をつぅっと伝る何か。

気付いた時には、もう遅かった…。


「明日香……!」


異変に気付いた藤堂君は、焦って私を抱えて部屋に連れて行った。

そっと布団に寝かされ落ち着いてくると、一気に恥ずかしさが押し寄せてくる。

運んできて貰ったのに無言のまま布団を被る。

先に沈黙を破ったのは


「……大丈夫か?」


目を合わせないまま頷く。

恥ずかしい…。
恥ずかし過ぎる…。
現代でもこんなことなかったのに…。
この時代で、しかも好きな人の前で…。

背中を向けていると、ふわっとした温もりに包まれた。


「ごめんな……明日香、女なのに辛い思いさせて俺、どうしていいのかわかんねぇ…」


藤堂君の優しさに体が軽くなってくる。


「ううん…ありがとう。藤堂君が傍にいてくれるだけで、大丈夫だよ」

「な、何だよそれ…」


照れを誤魔化すように抱き締める腕に力を込めたのが可愛くて、ふふっと笑ってしまった。


「痛くねぇか?」

「…少し」


回している手で、ぎこちなく優しくお腹をさすってくれるのが少々くすぐったい。

でも、とても心地良い。


「女なんだからさ!こんな男所帯じゃ言えねぇだろうけど…せめて、俺には言えよな!」

「ありがとう。藤堂君には、言うようにするね」

「おう!」


肩とお腹に回る逞しい腕に、私も手を添えた。


「良くなるまで、こうしててやるよ」

「うん!」


女の子に生まれても大変なことばかりだなぁ、って思う。

けど、それで貴方が傍にいてくれるなら、女の子として性を授かり出会えたことは、とても幸せなことだよ。

こんな日もいいかな、なんて。

変かな……?





月に一度の
女の子の日




             終

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