薄桜鬼

□覗きたい藤堂くん
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「疲れてるのに…ごめんね、藤堂君。私は大丈夫だから、部屋に戻ってもいいよ?」

「い、いや!この男所帯で女一人の湯浴びは危ねぇ!俺はずっと此処にいるから、明日香は気にしねぇでゆっくり浸かれよ」


とか言いつつ、俺の理性は今にもぶち切れそうだ。

ありがとう、と控えめに戸の向こうから明日香の声がした。

この戸の向こうで、今まさに明日香が湯浴びをしている!

だから時折、明日香が動いてちゃぷんと湯が鳴る訳だが……………………

俺はその度、びくっと身を震わせた。

正直、すげぇ見てぇ!

けど、俺がそれに及んでは、此処に俺がいる意味がなくなってしまう。

変な隊士や左之さん、新八っつぁんから、俺が守ってやるんだ!


「ん――…っ」

「!!」


じゃばっという音と何とも言えない声に、俺は変な気分になるのを必死に抑えた。


「き、気持ちいいか?」

「うん!とっても気持ちいい。お風呂はいつの時代も気持ちいいんだね!」

「そっか!そりゃよかった!」


沈黙。

やべぇ!何か話さねぇと!

そう思うのに、こういう時に限って何も思いつかない。

こんな板一枚に阻まれて


「藤堂君」

「はぇ!?」


うわー…声裏返っちまった…
格好悪ぃ……


「石鹸って何処かな?体洗いたいんだけど…」

「石鹸?そこの、湯桁にねぇか?」

「うん……ないみたい」


待てよ!
今日に限って替えの用意がされてねぇってことか?
何してんだよ!
けどこれは、考えが一つしか浮かばない俺にとっちゃ不幸中の幸いじゃねぇか………

俺は、ごくりと生唾を飲み込む。


「ごめんな、明日香。ほら、石鹸やるから少し開けるぞ?」

「うん、ありがとう」


覗くつもりはない。

けど、見えちまったら仕方ねぇよな?

恐る恐る、開けられた隙間へ石鹸を差し伸べると、中から濡れた白くて細い綺麗な腕が伸びて来た。

明日香の腕だ。

理性が崩れた音がした。

そんで気が付いた時には、その腕を掴んで、


「きゃっ……藤堂君…///」


抱き寄せていた。

着物が濡れることなんて、全く気にならなかった。

湯煙が明日香と俺を包んで、視界が真っ白。
でも、腕の中には確かにやんわりとした明日香の体がある。

肩を掴み、そっと目線を下げると、蒸気した顔の明日香と目があって


「みっ……///」





見ちゃだめ






そらされた。

両手で必死に体を隠す明日香が可愛過ぎて、つい柄にもなく苛めたくなる。


「見して」

「や、やだっ……」

「俺に見せんの嫌なのか?」

「えっと…嫌っていうか…あ…あの…は、恥ずかしいの……」

「恋仲なんだからさ。いずれ全部見せるって」

「え…!」

「だから…」


まだ恥ずかしそうにしていたが、俺はそっと明日香の両手を掴み


「すげぇ綺麗じゃん」


露わになったその体をまじまじと眺める。

露がつき白くて透き通るような肌。
其処には更に、綺麗な形をした山が二つあり、頂は熟した桃のような色をしている。

その下は…


「や、やっぱり恥ずかしいよぅ…」


そんなこと言ったって、此処まで見といて許す訳もなく、


「それじゃ、俺が隠してやるよ」

「え、藤堂く……んぁっ」


見上げてきた明日香の片山を右手で包むと、固くなった頂きが手の平で感じられた。

そのまま五本指をやわやわと動かせば、風呂場に厭らしい声が響く。


「やぁっ……あっ、あっ……」

「明日香…これなら、恥ずかしくねぇだろ?」

「あっ…もっと、恥ずかし…よっ」


明日香の体についた水滴を拭うように手を上へ下へ動かす。

すると、次第に明日香も大胆になってきたのか


「私ばっかりじゃ…やだよ。藤堂君も…」


そう言って俺の着物に手をかけてた。


脱がされた俺は、更に気にすることなく明日香を抱きしめた。

裸で抱き合うと、益々いい体だということがわかる。


「明日香……」

「………藤堂君」


嗚呼、繋がりてぇ

























「平助、風呂入ってんのか?」
























戸が開かれたのは、本当に唐突だった。

俺も明日香に夢中で、武士でありながら、この気配丸出しの筋肉自慢が来ることさえ気が付かなかった。

一生の不覚。

そして、素っ裸の明日香と俺は、風呂の蒸気に負けないくらい顔を熱くして叫んだ。

俺は、永遠にこの人を恨み続けるだろう………




見ちゃだめ
と言われる程見たい




             終

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