FINAL FANTASY 零式

□むっつりなんて言わせない
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「……」


今、キングは困っていた。

目の前には、無防備にベッドに横たわる彼女ファイブ。

それは、数分前に遡る。

突然、任務帰りのファイブが項垂れてキングの部屋を訪れた。

任務で失敗をしてしまい、クラサメに静かに怒気されたのだとか…。

さっきまで、慰めてーと仕切りにくっついてきていたかと思ったら、いつの間にか寝息が聞こえていて、今に至る。

彼氏彼女という関係でも、男女二人きりだというのにそれは余りにも無防備過ぎて、流石のキングも戸惑ってしまっていた。


それは、丈の短い制服から覗くファイブのおへそ、朱色のスカートから伸びる足。

全てがキングを困らせている。


「…ファイブ」

「…」

「風邪を引くぞ…」

「…」


いくらキングが声をかけた所で起きる訳がなく、寝息が聞こえるのみ。

はぁ、と小さく溜め息をつくと意を決してベッドに近付いた。


「…んー…」


布団をかけようとしたキングの手が止まった。

寝返りを打った拍子に段々と制服もスカートも捲れ上がってしまったから。

おへそ所か、このままでは上下半身が露わになりあらぬ格好になってしまう。

そう悟ったキングは、そっと上着に手をかけた。

直すだけだ、と自分に言い聞かせながらもふと目線を下げれば、隠すのが惜しい程真っ白で綺麗なお腹が呼吸と共に動いていた。

あまりの綺麗さに自然と手が伸び、そっとくびれを撫でた。

ちゃんと飯食ってるのか?

そんなことを心配させられてしまう程の体の細さが、触ることで一段と伝わった。

擽ったいのか体を捩るファイブ。

更に捲れたスカートから露わになった太ももにも手を伸ばし、撫でると


「…キン、グ…」

「起きたのか」

「ううん。お腹触られて起きちゃった」


と、いうことは割と始めから起きていたということだ。

そう思ったら、一気に罪悪感が押し寄せてきた。


「…すまん」

「え?」

「寝込みを襲うような真似をして」

「そ、そんなことないよっ…私、キングはそんなことしないってわかってるから!」

「ファイブ」


ファイブは優しい。
けれど、優し過ぎる。
その優しさが、キングを困らせていることを知らない。

だからキングも、本心を告げて彼女を困らせたくはないのだ。

そんなことも知らず


「それにね…キングに触られるのは、嬉しいし…」


他意は無いとしても、男ならその言葉を都合良く受け取ってしまう。

キングも同じく―――


「俺に触られるのは、嬉しいのか」

「うん……」

「嫌ではないのか」

「うん」

「では、触ってもいいか?」


ちらりと伸びる足に目を向けると、ファイブは真っ赤な顔を俯かせて、こくりと頷いた。


「わっ…ゃ…!」


綺麗なふくらはぎに無骨な手を這わせると、足を隠そうとスカートを引っ張るファイブ。

そんな可愛い仕草は、キングを煽るだけ。


「…ひゃっ…キング…」


内股をすっと通れば、一段と大きく反応する。


「嬉しい、か?」


………うん。

頷くと、キングもふっと笑って


「俺も嬉しい」


そんな顔を見たら、もっと喜ばせてあげたいと思ってしまった。

だから、その手を止めるようなことはしなかった。





むっつりなんて
言わせない

でも、やっぱりむっつり




            fin,

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