テニスの王子様

□財前くんと本気の恋
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絶対、嫌われた思た。
明日…いや、今晩には別れてくれ言われることも覚悟しとった。

気持ちを抑えられんかった上、あんな酷いこと言ったんや普通嫌いなるやろ。

絶対、好きにならん。
暇やから付き合う。

そんなことを繰り返して来とったのに、本気になんてならん思てたんに、あいつの所為で調子狂うわ。
俺は、好きな奴にさえ優しなんて出来へんし、おもろい話も出来へん。
けど、あいつはいつも俺の前で笑てる。

ー何がおもろいん?

そう聞くと

ー財前くんといられることが嬉しいの

ほんま、変わっとるわ。
そんなん言う奴、自分くらいや。

とうとう、一晩待っても美香からメールは来んかった。

自然消滅言うことか?

そう思ても、俺はいつも通り学校行く時に美香ん家の前を通って

見間違いや思た。

そこには、いつも通り美香が玄関の前に立って待っとった。
そんで俺の姿に気付くと、少しぎこちなく笑うて


「ざ、財前くん…おはよう…!」

「…おはよう」


目も合わすことなくそのまま歩くと、美香も少し離れて後ろをついて来た。
その距離が俺らの心ん中を映しとるみたいで、居た堪れんかった。


「自分歩くの遅いわ」


そう言うて手を差し出すと、驚いて俺の手と顔を交互に見てきた。
ほれ、ともう一度目の前に出すと、今度は勢い良く飛びついてきた。

そんな嬉しそうにされても困るわ…。
嫌なら早う言えばええやん。嫌いや、別れようて…。

けど、それから授業中も昼休みも一緒に居っても美香は、何も言わんかった。

それ所か何ら変わらんと笑うて、弁当作ってくれて、キスもした。



気持ちがしっくりせんまま帰り道になってしもうた。
俺は昨日の今日で半ばやけになり、美香の気持ちも考えんと


「家、寄ってくやろ?」


その言葉を聞いて一瞬、美香の体が強ばった。
当たり前や。行きた訳ない。
だから、断って欲しかった。そうすれば、もう吹っ切れる思た。


「うん…行きたい…!」


やのに、なんでや。なんで笑えんねん。

俺の気持ちを裏切って、なんの抵抗もなしに俺の部屋に入ってきた美香。

昨日と変わらない背中を見とると余計にむしゃくしゃして、俺はドアを閉めるのと同時に、昨日同様美香をベッドに押し付けた。

俺は最低や。やから、もう嫌いになってくれ…。
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