イナズマイレブン

□守りたい後輩
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「霧野君、私と付き合って下さい!」


すらりとした女子が俺の前に立っている。

彼女は、2年の中でも可愛いと有名で、隣のクラスの俺でもその存在を知っていた。

そんな彼女から告白されたことにも驚きだったが、どうして俺なんだという方が強かった。

俺は、女みたいなこの見た目がコンプレックスだ。

だから、こうして俺を男として見てくれることは、すごく嬉しかった。


「ありがとう」







「で、何て言ったの?」


教室に入った途端、いつもの3人に囲まれる。


「え?」

「ハイハイ、惚けない〜。女子に呼び出されるとすれば、1つしかないっしょ」


妙な所勘がいい浜野にたじろぐ。


「……断った」


すると、倉間がバンと机を叩いて、俺を見上げてきた。


「はぁ?何、勿体ねぇことしてんだ!男なら付き合えよ!」

「く、倉間君には貴重かもしれないですけど、霧野君は…」

「うるせぇ!」


男なら、か…

確かに可愛くて、女の子らしくて、彼女に断る要因はなかった。

要因は俺にある。

俺には



付き合っている奴がいるから




「狩屋!待たせて、悪い」

「遅いですよ」

「だから悪かった」


放課後。
拗ねている狩屋を校門の前で、人目も憚らず抱きしめる。

腕の中で、小さな体がびくっと震えた。


「ちょっ…いきなり抱きしめないで貰えません…?」

「嫌か?」

「い、嫌じゃないですけど…」


照れた狩屋が可愛くて、更に強く抱きしめる。

俺は、狩屋が好きだから、ずっと告白を断ってきた。

例え女でも――


「狩屋、好きだぜ」

「はぁ!?」

「お前は?」

「お、俺もです…!」


頬を染めてはにかむ狩屋に誓う。


俺は、これからもお前を守っていくよ、と――




            fin.

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