イナズマイレブン
□部室のケミストリー
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「お前には…普通の女子と、付き合って欲しい…」
「俺は霧野先輩がいいんですけど、霧野先輩は俺じゃダメですか…?
俺を神童先輩より、好きになってくださいよ」
狩屋の懇願するように喉で押し殺された声がミーティングルームに残響した
「…そうなりそうな自分が怖いんだよ…これ以上お前といたら…俺の方がっ…」
涙に濡れた霧野先輩の言葉は、狩屋によって遮られた
「…か、りやぁ…」
「あんまり可愛いこと言うと、襲っちゃいますよ」
「…こんな俺でいいのか…?
サッカーも、何もかも中途半端な俺で…」
「言ったじゃないですか。俺は霧野先輩がいいんです」
「狩屋…」
***
目を覚ました時には、既に朝日が僕を照らしていた
どうやら机の下で眠ってしまったようだ
「夢、だったのかな…?」
外に出ると、丁度朝練のためサッカー部が集まってきていた
「狩屋!おはよう!」
「痛っ!!!」
走ってきた天馬と信助に抱きつかれた瞬間、狩屋は思い切り顔をしかめ腰を抑えた
「ごめん、狩屋!腰痛いの?」
「い、痛くねぇよ!」
3人を見ていた時、後ろから聞こえた「痛!」という声に振り返ってみると
同じく腰を抑えた霧野先輩とそれを支える神童先輩の姿が
「大丈夫か、霧野?腰が痛いなら休んでいても…」
「だ、大丈夫だ…!」
すると、天馬が神童先輩を見つけ手を振る
「キャプテーン!あれ?霧野先輩も腰痛ですか?狩屋もなんですよー」
「何…狩屋もか?」
「俺は大したことないですよ…大丈夫ですか、霧野先輩?」
「…狩屋こそ」
腰の痛さへの苦笑が僕には幸せの微笑みに見えた
fin.