イナズマイレブン
□部室のケミストリー
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「ねぇ、狩屋!一緒に帰ろうよ!」
「あー…先に帰ってろよ」
その言葉に肩を落とし、ボールを籠へ片付ける
僕は狩屋を親友だと言ったけど…最近、それはただの僕の自己主張だったのかもしれないと思い始めていた
だって狩屋はいつだって僕なんて見てはいないから
「どうしたの?影山」
「…天馬…信助…」
「狩屋、霧野先輩といたけど一緒に帰ろらないの?」
どくんっ
「うん……」
僕なんて見てくれるわけないんだ
だって
狩屋は霧野先輩と付き合っているからーーー
多分知ってるのは、僕と神童先輩ぐらいだろう
僕の場合は“知っちゃった”って言う方が当たってるけど…
狩屋は僕が雷門中に転校してきた時からずっと、霧野先輩が好きだった
だから僕には出る隙間もない
「あ!着替え!」
一通り片付けを終え帰ろうとした矢先、サッカー棟に忘れ物をしたことに気付き、逆戻りする羽目になった
「よかった…あった!」
ミーティングルームにずらりと並ぶ机の上に呆気なく荷物は置いてあり、ほっとして部屋を出ようとした
「…で、何を忘れたんだ?」
その時誰かが入ってきて、僕は思わず机の下に隠れてしまった
声を聞いた時点で“誰か”なんて明白だった