イナズマイレブン
□グランドのケミストリー
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荷物を持って出てきた時にはもう狩屋の姿はなく、ガクッと肩を落とした
「狩屋早いよ〜!一緒に帰りたかったのに…」
だが、何気なくまだ明かりが付いているグラウンドを覗くと、影が2つ伸びていた
「どういうつもりだ、狩屋」
「相手がいた方が練習になるじゃないですか」
「おい!狩屋!ボールを返せ!」
「嫌です。何なら必殺技使って取り返したらどうです?」
「ふざけるな!」
明るいグラウンドで霧野先輩がボールを持った狩屋を追いかけている
狩屋は楽しそうに笑っているのに、時折寂しそうな表情を見せた
「…言わないんですか」
「何をだ」
「神童先輩に。…幼なじみじゃないんですか」
「……………」
霧野先輩は俯いて、狩屋を追いかける足を止める
「お前に何がわかる!!!…幼なじみだから…言える訳ないだろ?
あいつは今やっと、ずっとやりたかったサッカーが出来るようになったのに…それを俺が…壊したくない…」
「…諦めるんですか」
「出来ることならそうしたいさ…!けど…」
「なら、俺が諦めさせてやりますよ」
「え…」
低い声で狩屋が言うと、ボールを蹴って霧野先輩の正面へと走って行く
「くっ…!」
グラウンドで激しいボールの奪い合いが始まった
2人の首筋を流れる汗が、照明でキラキラしている
「狩屋……」