うたの☆プリンスさまっ♪

□猫の飼い方
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「翔くん!か、可愛い…」

「くねぇよ!!!!!!!!!」


朝早く、翔くんからメールがきた。

【たすけてくれ】

余程余裕がなかったのか、この一言のみ。

そして、すぐに私の部屋を訪ねてきた翔くんは、深くフードを被り、彼にしては珍しい黒のだぼっとしたスウェット姿だった。

何事かと思い、なかなか本題を切り出さない翔くんが渋々フードを取った時だった。

ことの重大さに気付いたのは。

そう。翔くんの金色の髪の中に、本来あるはずがないふさふさした2つの三角形が付いていた。

お尻からは、耐えきれなかったようにむくむくと現れる、これまたふさふさした尻尾。


その姿は、言わずとも



――猫だった。



「ど、どうしたの…?」


震える声で、俯く翔くんに聞くと耳がぴんっと立った。


「知るか!朝起きたらなってたんだ!…那月に見つかるわけにいかねぇから部屋抜けてきて…あ、いきなりごめんな?」

「ううん、大丈夫だよ!こうして私のところに来てくれて嬉しい!」

「花…///」


怒ったと思ったら悲しんで、悲しんだと思ったら照れて…

翔くんの感情を現すように、耳と尾が忙しく動いている。


「あんま可愛いこと言うなよ…!」

「可愛いのは翔くんの方だよ?」

「うっせぇ!」


怒られてもそんな姿が可愛くて、私は自分より大きい翔くんを小動物を見るような目で見つめる。

そして、意を決して


「ねぇ、翔くん。お願いがあるんだけど…」

「嫌だ」


…即答。


「なっ…まだ何も言ってないよ―!」

「花が言いそうなことなんて大方予想はついてんだよ!…どうせ、俺に触りたいんだろ?」


――はい。その通りです。


「……うん!」

「お前なぁ…」

「だめ、かな…?」


観念した私は、ため息をつく翔くんを窺う。

どうしても嫌なら、無理に触っちゃいけないよね…


「…少し、な」

「え?」


しかし、意外な返答に私から間抜けな声が出た。


「花が言ったんだろ…!別にいいならいいけど…」

「ありがとう!私、翔くんに触りたい!」

「……///」


触るなら触れよ、と照れた顔を背ける翔くんの前で私は正座をし、まるで何かの儀式のように一礼した。
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