うたの☆プリンスさまっ♪
□猫の飼い方
1ページ/2ページ
「翔くん!か、可愛い…」
「くねぇよ!!!!!!!!!」
朝早く、翔くんからメールがきた。
【たすけてくれ】
余程余裕がなかったのか、この一言のみ。
そして、すぐに私の部屋を訪ねてきた翔くんは、深くフードを被り、彼にしては珍しい黒のだぼっとしたスウェット姿だった。
何事かと思い、なかなか本題を切り出さない翔くんが渋々フードを取った時だった。
ことの重大さに気付いたのは。
そう。翔くんの金色の髪の中に、本来あるはずがないふさふさした2つの三角形が付いていた。
お尻からは、耐えきれなかったようにむくむくと現れる、これまたふさふさした尻尾。
その姿は、言わずとも
――猫だった。
「ど、どうしたの…?」
震える声で、俯く翔くんに聞くと耳がぴんっと立った。
「知るか!朝起きたらなってたんだ!…那月に見つかるわけにいかねぇから部屋抜けてきて…あ、いきなりごめんな?」
「ううん、大丈夫だよ!こうして私のところに来てくれて嬉しい!」
「花…///」
怒ったと思ったら悲しんで、悲しんだと思ったら照れて…
翔くんの感情を現すように、耳と尾が忙しく動いている。
「あんま可愛いこと言うなよ…!」
「可愛いのは翔くんの方だよ?」
「うっせぇ!」
怒られてもそんな姿が可愛くて、私は自分より大きい翔くんを小動物を見るような目で見つめる。
そして、意を決して
「ねぇ、翔くん。お願いがあるんだけど…」
「嫌だ」
…即答。
「なっ…まだ何も言ってないよ―!」
「花が言いそうなことなんて大方予想はついてんだよ!…どうせ、俺に触りたいんだろ?」
――はい。その通りです。
「……うん!」
「お前なぁ…」
「だめ、かな…?」
観念した私は、ため息をつく翔くんを窺う。
どうしても嫌なら、無理に触っちゃいけないよね…
「…少し、な」
「え?」
しかし、意外な返答に私から間抜けな声が出た。
「花が言ったんだろ…!別にいいならいいけど…」
「ありがとう!私、翔くんに触りたい!」
「……///」
触るなら触れよ、と照れた顔を背ける翔くんの前で私は正座をし、まるで何かの儀式のように一礼した。