うたの☆プリンスさまっ♪

□補習授業
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誰もいなくなった放課後の教室で、花と俺は机を挟んで向かい合い補習で残っていた。

いや…正しくは俺の補習に花が付き合ってくれてるんだけど…

俺だけ補習とかマジでありえねぇ!!!

花にも申し訳ねぇし……けど、この状況を喜んでいる自分が確かにいる。


「ここはね…」


花は熱心に教えてくれてんだけど…俺はずっと落ち着かない。

この空間に2人っきりでいるっていうのもあるが、それよりもこいつが警戒心なく近付くから…!

揺れる髪から香るシャンプーの匂いとか、時々触れる指先とか、近くで見ると睫毛長ぇなとか…そっちばっか目がいく!!!

俺が補習人なのに何考えてんだよ!!!


「翔くん?」

「え!?」


我に返ると、プリントに落とされていた視線が俺に向けられていて、胸が騒がしく脈打ち出す。


「翔くん…大丈夫?」

「あ、あー…えっと…」


眉を顰めた俺を心配そうに覗き込んでくる花にどう返していいのか分からず、目が泳いだ。

でも、花の視線からは逃げられなくて…

その距離は机1個分。

手を伸ばせば、すぐ髪に触れることが出来た。


「しょ、翔くん…///」


さらりと髪を梳くと、まるで毛先まで神経が通ってるんじゃねぇかってくらい花の頬が染まり、肩が跳ねた。

そんな花が可愛くて、可愛過ぎて、俺は意地悪く髪に唇を寄せ


「…なぁ、キスしていいか?」


途端、ますます赤くなる頬。


「翔くん…!補習…」

「キスしたらちゃんとやる」

「あ!私、風邪気味だったんだ…」

「お前のなら移ってもいいよ」

「でも…先生来ちゃったら…!」

「そんな長くしてぇの?」

「〜〜〜〜……///」


必死に言い訳を並べ、次第に俯いてくる花の顔を覗く。


「嫌、なのか?」


すると花は、嬉しいくらいに首を振ってくれた。


「そうじゃないの!…その、ね…恥ずかしくて…」

「花…」


ガタンと椅子が後ろに倒れると、俺達の距離はなくなった。


「……ん」


小さく吐息が漏れ、唇を合わせ合う。

机に開いてあるノートのページが窓から入ってきた風でめくられる音が、俺の心臓の音を掻き消してくれた。

もう補習とかどうでもいい。

やべぇ…俺、今すげぇ幸せだ。


「…花」

「しょ、ぅ…くんっ」



ガラッ




「……お前ら、何してんだ」


えぇぇぇぇ!!!!!!!
龍也先生、そりゃねぇよ!!!!

この状況に驚いたのは、突然教室に入ってきた龍也先生も花も俺も同じだった。

だから俺達は頬を赤らめ合って


「「ほ、補習です!」」



補習授業
(こんななら、毎日でもいいかもな)
(も、もう補習はだめだよ!)





            fin.

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