うたの☆プリンスさまっ♪

□大輪の花
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「藍くん、浴衣…に、似合ってるよ…!」


繋いだ手に力を込めながらぎこちなく言うと、彼もまた手に力を込めて私に笑いかけた。


「花も可愛いよ」

「あ、ありがとう…///」


その笑顔はみんなが言うような"天使の微笑み"で、直視することが出来なかった。



少し歩くと、賑やかな屋台が建ち並ぶ神社に着いた。


「わぁ…見て見て、藍くん!」


その煌びやかな光景に、小走りで下駄を鳴らし手を引いて行く。

好きな人との初めてのお祭り。

最初は、アイドルが行けるわけないでしょと断られてしまったが、必死のお願いと四ノ宮さんがくれたお面の甲斐あってか、特別に行って貰えることになったのだった。

そんな幸せに私の胸は高鳴っていた。


「あ!藍くん藍くん…きゃっ」

「あっ」


高鳴り過ぎて周りが見えなくて、慣れない格好に足が縺れてしまった。

しかし、繋がれていた手が私をしっかりと抱きしめてくれていることに気付く。

いつも以上に近付く距離にこの人混みの中、まるで二人だけの時間が流れているよう。


「気を付けなよ。本当、君は危なっかしいんだから」

「ご、ごめんね……」


華奢な体からは考えられない程の力強い腕は"ロボ"ではなく"男の人"で、更に私をドキドキさせた。



その後、二人で屋台を見て回り、定番の金魚すくいをしたり射的をしたり、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。

ずっとドキドキしっぱなしな私は、かき氷を買って貰い上機嫌で人気の少ない階段に座っていた。


「楽しかった!藍くんって金魚すくい苦手だったんだね!何か意外だったなー」

「別に苦手なんじゃないよ。紙が薄過ぎるだけ」

「ふふっ…だって藍くん、力入れすぎなんだもん。そっとやらなきゃ破れちゃうよ。…ふふっ」


悔しくて金魚すくいに没頭する藍くんの姿が今でも目に浮かび、思わず笑みが零れた。


「うるさい」


でも、射的の藍くんは素晴らしく格好良かった。

どれが欲しい?と聞かれ答えたものを次々と撃ち取っていき、注目の的だった。

注目され"美風 藍"だということがバレてしまうか心配だったが、四ノ宮さんのお面が上手く役目を果たしていたようだ。


「藍くん、可愛かったよ」


でも、と言葉を続けようとした時、頬に冷たい指が触れた。


「よく言うよ。こんな可愛い格好してさ」

「あ、藍くん…」

「舌、出してみなよ」


さっき笑った仕返しなのだろうか………

藍くんは、積極的に私に詰め寄ってきた。


「し、舌…!?」

「出して」


しばらく恥ずかしくてもじもじしていたが、藍くんの眼力に負け観念して舌をべーっと出して見せた。

すると、


「ほら、可愛い」


私のいちご色の舌が吸われた。


「ん……ふっ」


かき氷で冷えた口内が暑くなっていく。

藍くんは、角度を変えて何度も何度も私の舌を吸い上げた。

それがあまりに気持ち良すぎて、自分の浴衣が乱れていることになんて気が付かなかった。


「ぁっ、は…」


やっと舌が解放され、藍くんと目が合う。


「……ぁ、ぃ…くん…」

「厭らしいね」

「…う……んっ」


乱された浴衣の隙間から藍くんの手が入って来て、私の体を徘徊した。


「く、ぁっ……」


敏感な箇所を撫でられ、だらしなく開いた口から声が漏れた。

藍くんは、それを面白がるように手を動かし、下着の中から胸を揉み上げた。


「ぁっ、ぃく…だれか、きちゃうよっ…」

「こんな暗いところ、誰も来るはずないでしょ」

「でもっ……ゃっ」


折角着付けた浴衣はいとも簡単に脱がされ、私は淫らな格好になっていた。

下駄も脱げた足を藍くんの手が撫で、内股にまで達した。

私はそれに耐えるように、藍くんの首にしっかりと腕を回す。


「……ゃ、ぁっ…」

「こんなに濡らして。本当はお祭りより、コッチの方がいいんじゃないの?」

「…ぁあっ…」


意地悪に笑う藍くん。

遠くで聞こえる賑やかな声が別次元のことのように思えるくらい、私は藍くんに夢中だった。


「…あい、くんっ…」

「花」


そして、夜空に咲き誇る。





大輪の花
暗闇に咲く君




            fin,

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