短編夢1

□もしも…
1ページ/1ページ

*性描写注意


「…なんでサワと同室なんだよバーカ。ミネと替わってもらえよ。オレも部屋抜け出すし」





もしも…






シンの言葉通り、私は先程までミネのものだった部屋のベッドに1人座っていた。

何の疑いもなく部屋を開けてくれたミネには、申し訳ない気持ちで一杯だけど


「なんだ。もう来てたのか」


考え事をしていると、シンが部屋に入ってきた。

時刻は、22時38分――

シンの姿を見た途端、私の体が硬直する。


「しかも、そんな所座って。誘ってんの?」

「ち、違……んっ」


じわじわ迫ってきたシンは、ベッドに手を着くと待ち切れないように唇を重ね、後ろに体重をかけてきた。

倒されないように寸でのところで手を伸ばし、体を支えた。


「…シ、ンっ…だめ…」


私に覆い被さる格好のシンは、唇を離し不満気に見つめてくる。


「何で。今更嫌とか言うなよ」

「今更って……シンはいきなりだよ」

「来る前から分かってただろ。こういうことすることくらい」

「……っ」


体を震わせた私を見かねて、大きくため息をつくと


「分かってて部屋替わってもらったんだろ。嫌なら…オレを突き飛ばして出て行けばいい」


私に逃げる時間をくれるのは、シンの優しさ。

知ってるよ。
昔から、言うことはキツくて無愛想で素っ気ないけど

誰よりも私に優しいこと


「……」


見慣れない熱っぽい視線に目が離せなくなる。

ああ、私は――


























捕まった。
























「……………シン」


心臓が壊れそうなくらいドキドキしていた。

私の心を見透かしたように意地悪に笑うと、シンはもう一度私にキスをし、今度こそ体を倒されてしまった。

噛みつくようにキスをされ、思考が停止していく。
何も考えられない。

私はいつも、年下のシンに流されてしまう。

もう、流されてしまっても構わないとさえ思う。


「……ん…シン……でんき、けして…」

「……」


息絶え絶えの私に、一瞬驚いたように目を見開いた後、すごく優しく笑ってくれた。

パチッ…

ベッドに備え付けのスイッチに手が伸ばされてすぐ、部屋が暗闇に包まれた。

すると、シンのスイッチはONになってしまったようで、戻ってきた手がすぐ私の体を撫でた。


「……ん…」


撫でるように服を脱がされ、シンも邪魔臭そうに自分の上着を脱ぎ捨てる。

少し乱暴な、先程からどこか切羽詰まったようなシン。


「シン…どうしたの…?」

「…何が」

「今日は…何か、急いでる…」


見つめると、揺らいだ赤い瞳を隠すように私の首筋に顔を埋めた。


「……やっ…」

「早くお前とこうしたかったからに決まってんだろ、バーカ」


熱い舌が体を這っていく。

その舌が、私の乳首をぬるりと舐め取ると、自分でも驚くくらい体が跳ねた。


「……あっ…ぃやん…っ」

「…マリナも感じてんじゃん」

「…ん…ちが、う…もん……ぁっ…」

「嘘つくなよ。気持ちいいんだろ」


意地悪なシンは仕切りに指で、舌で乳首を刺激して私の反応を楽しんでいる。

恥ずかしいけど、正直気持ちいい。

そんなこと、本人には言えないけど…。

シンは、経験豊富みたいにイイ所を知っているけれど、私はあまりにも無知過ぎていつもされるがまま。

年下の上にそんなことまでされるから、いつも腑に落ちない。

だから――


「……おい…!」

「…きょ、は…シンもきもちよくして、あげる…」


そう言って、私は徐にシンの下半身に手を伸ばした。

服の上からでも分かる程、大きく主張されているモノに触ると、今度はシンの体が跳ねた。


「マリナ…!」


確か、男の人はこうするはず…とうろ覚えな知識の中、そっと手を動かすと、何かに耐えるようにシンは体にぐっと力を入れた。


「…くっ……お前、そんなことどこで覚えたんだよ…下手くそ」


下手くそ…なことなんて自分が一番よく分かっているのに、改めて言われると悲しい。


「ど、どうせ下手だよ…!」


拗ねて、シンから手を離そうとした瞬間、すぐに掴み戻されてしまった。

そして、チャック音がしたかと思うと、シン自身がシンによって取り出され


「…こうすんだよ、バカ」


掴まれた手が撫でるように動かされると、ソレは私が触った時よりも大きくなった。


「…シ――」


ビックリして顔を覗き込んだ時、暗闇に慣れた目が捉えたのものは、歯を食いしばって快感の声を耐えるシンの姿だった。

いつも勝ち気なシンからは想像がつかない姿に愛おしさを感じた私は、もっと気持ち良くさせてあげたいと思った。


「…シン…好き」


もぞもぞとシンの懐に潜り込むと、先程まで手が触っていたモノを口に含んだ。


「……ぁっ…」


耐え切れなかった声が小さく漏れる。

下手くそだけど、少しでもシンは気持ちいいって思ってくれているかな…?

唇で舌で刺激し続けていると、逃げるように腰が引かれた。


「え……」

「…もう…無理だって…」


余裕をなくしたシンは、もう意味をなくした私のショーツを引き下げた。


「…ろくに慣らしてやってねぇけど…」

「ううん……私もシンが、欲しい………」


申し訳なさそうな顔のシンに微笑むと、安心したように腰が沈められた。


「……あ、ぁあっ……」

「……きつ…」


やはり、今夜は慣れていないソコは締まっていてなかなかシンを受け入れてはくれない。

私も、入りやすいように出来るだけ足を開いた。


「…く…はいった…」

「んっ……」


体がぴったり重なると優しくキスをされ、腰が動き始めた。


「……はんっ……あ、う…」


2人分の体重がかかったベッドは沈み、動きに合わせてギシギシと軋む。


「…あっ、あっ……も…」

「…イけよ」


腰を打ち付けられ、快感の波が押し寄せてきた。

私の頭が真っ白になるのと同時に、お腹にはシンの快感が吐き出された。





もしも…





「マリナ先輩〜」


翌朝、シンと別れ部屋に戻ると、ミネが擦り寄ってきた。


「おはよう。どうしたの?」


何事もなくそう聞くと、ミネは口元を抑えてにやにや、サワは気まずそうに視線を逸らしている。


「先輩〜。昨晩はどうでしたぁ?」

「へ!?どうって!?」

「惚けないでくださいよ。ねぇ、サワ先輩?」

「ちょ……ミネ!」


話を振られてあたふたするサワにどういうこと?と聞くと


「あ、あのね…………昨夜、あんた達の声…漏れてた……」


重い口に告げられたのは、あまりにも衝撃的な言葉だった。



            fin,

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ