薄桜鬼

□藤堂くんに捧げる
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風呂から帰ると、寝巻きに着替えた雛姫がいた。

そんな姿で、二枚用意された布団の上にちょこんとお座りしている。


おいおいおいおい!!!!
反則じゃねぇか、これ!


襖を開けた俺に気付いた雛姫は


「は、早かったな…」


なんて頬を染めて、これまた可愛い表情でこちらを振り返った。


「早く戻ってきたんだよ」


まだ熱っぽい俺の体が、雛姫を抱きしめたことによって更に熱を帯びる。

それはきっと、こいつの体も熱いから。


「緊張してんのか?」

「き、緊張など!この私が平助ごときにするわけなかろう!」


「そうかよ」


平助ごとき

その言葉にむっとした俺は、汚れなき白の上に雛姫を押し倒した。


「な、何をするのだ!」

「震えてんじゃん」

「これは……突然、平助に倒されたから……んっ」


なおも強がりを見せる姫様に、口付けを一つ。


「素直になれよ。怖いなら怖いって、言って欲しい」

「……………」


長い沈黙。

仰向けの雛姫を見つめるが、なかなか視線は交わらない。

そして、最初に沈黙を破ったのは


「……怖い」


蝋燭の明かりだけが、今こいつの表情を知る術。俺の理性を抑える術。

素直な雛姫を愛おしく抱き寄せる。


「大丈夫。痛くねぇから」

「本当か?平助は、嘸達者なのだな?」

「別にそういうわけじゃねぇよ!……ただ、お前を大事にしたいだけ」

「平、助……」


そっと頬に添えた手に、白くて小さい手が重ねられた。


「私は、その………このようなことは初めて故、どうすればよいのか…わからぬ……だが、お前…平助だから……怖いが、嫌ではないのだ。…わかって、いるのだろうな?」

「くくくっ…」

「な、何が可笑しい!」


思わず、堪えた笑いが漏れた俺の胸がどんと叩かれた。


「悪い悪い!いや、お前も大概強情だよな」

「喧しい!さっきの言葉は撤回だ!もう、よい」


膨れっ面で、俺を自身の上から押し退けようとするも、それを許さない俺。


「撤回出来ねぇよ。ばっちり聞いてたからな」


半分起き上がった雛姫の体を戻し、俺は顔から笑みを消した。


「俺に、身を委せろよ」


呟いた瞬間、全ての術がなくなり、俺達は暗闇に飲まれた。


「平助……んっ」


啄むような口付けをしながら、雛姫の寝巻きをはだけさせていく。

雛姫は抵抗するどころか、されるがまま。

そうして、露わになろうとする女らしい体が、俺を煽り出す。


「あっ……」


びくんっという震えの後、その白くて艶やかな女体がさらけ出された。

普段厚い着物で隠されていた体は、撫でるのが吸い付くのが勿体無いくらい綺麗で、一瞬戸惑ってしまった程。


「へ、いす…けっ」


意を決して、片方の山を揉み上げ、もう片方の頂を口に含んだ。


「あっん……ゃあ…」


聞いたこともないような甘い声に酔ってしまい、俺はもっと雛姫を鳴かそうとする。

まだ緊張しているのか、感じているのか、こいつの頂は固くなっていた。


「雛姫…っ」

「…へい…す、け…んはっ…雛って呼んで…ぁ」

「雛」


雛は、本当に体全てを俺に委ねてくれた。


そして、俺の動きに合わせて反応してくれて……

その姿は、姫と呼ぶには似つかわしいが、女と言うには相応だった。

傲慢で我が儘な姫様は、誰よりも妖艶で美しかった。


「大丈夫か?」


太股まで手をかけた時、びくついた雛を見つめた。

しかしその目は、いつものように真っ直ぐ強く俺を見つめ返していた。


「言ったであろう……平助だから嫌ではない、と…」


ったく……。この姫様はどこまで強情なんだか。


溜め息混じりに笑みが漏れ、俺はこの強情な姫様に重なった。




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