短編夢1

□でも、僕のこと好きでしょ?
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「美空先輩、何します?」

「な、何って…?」

「嫌だな。分かってるでしょ」


梓くんが怖い……。

前髪パッツンで大きな瞳の童顔が更に年を幼く見せている。
しかし彼の言動は、そんな要素を微塵も感じさせない。

時々、どっちが先輩だか分からなくなるのだから。

今日は、そんな梓くんの家に遊びに来た。

白を基調とした綺麗なリビングでまったり星について話していた最中、突然梓くんはそんな風に切り出してきた。


「だから、何が…?」


いつも以上に人懐っこい笑顔に嫌な予感しかしないんだけど…。


「言葉にしないと分からないんですか?」


耳元で囁かれ、顔が熱くなった。


「ちょっ……梓くん…!」


恥ずかしくて距離を取ろうと後退りした背中にソファーが当たった。

迫る梓くんから逃げられない。



「美空先輩とシたいってことです」


ソファーについた手で包囲され、とびきり甘い声で呟かれただけで私の体から力が抜けた。


「あ、梓くんってば……明るいし、だめだよ」

「明るくなかったらいいですか?」

「…もう…」


口を尖らせ、無邪気に笑う梓くんを睨むと右頬に手が添えられ


「それじゃ、」

「ん……」


唇が重なると、無意識に体が仰け反った。

突然のことに息を吸う暇もなく、唇が離れた途端ぷはっと大きく空気を吸った。


「…はぁ、はぁ……意地悪っ…」


掠れる声で精一杯呟くと、対称的に梓くんは勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

私は、そんな彼に弱いの。



でも、
僕のこと好きでしょ?

うん、その通り。




            fin,

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