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□相変わらずだね
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困りました。と桜井椎奈は心の中で呟くのだった。

只今3月、ただでさえ昼間でも少し寒いのに、夜になると更に気温が下がる。
特にコンクリートなんて氷の様に冷たくなり、その上で寝たら体温を奪われてしまう程だ。
そして、私はそのコンクリートの上で寝ています。テヘぺロ。
ぶっちゃけ、全然テヘぺロなんて言ってる場合ではない。寒い。凄く寒いです。
起き上がりたくても、1週間まともな食べ物を食べていなかった為、力が出ない。イコール声も出ないです、はい。
はあ…こんな事になるならバイトでもすれば良かったです。って、毎回考えてますね、これ。

『毎回』

私は、こういう事…コンクリートに倒れるような事は何度も体験している。そしてその度に通行人に叫ばれる事も。

こうなるには理由がある。
まず、私は外に出るのが苦手。というか人が苦手です。だから籠る、家に。
そうなると働けない。(内職というものがあるが、私は手先が不器用の為できません)だからお金がない。
なので、お金に関してはとある友人に助けてもらっているんですが…

「まったく、君はよくそんなんで生きていけるね」

と、上から目線なんです。

その友人とは毎日1回、連絡を取り合っているんですが、そんな友人の態度に喧嘩になる事もしばしば。

「どうして毎回そんなムカつく態度なんですか?」

「それは君がいえる台詞かい?家に引きこもっている君が」

「…私が引きこもりなのは認めます。でももっと優しくしてもいいと思うんです」

「これでも優しくしてるよ?」

まあ、こんな感じに言い争いになって最終的に

「そ、じゃあ俺もうお金出さないから」
「かってにして下さい。あなたなしでも私は生きていけます」

そして1週間、水だけ飲んで生活していたのですが、流石にもう無理だったので友人に謝りに行こうとして今に至る訳です。


でも今回は少しやばいです。
普段はまあまあ人通りのある所で倒れるのですが、今日は人通りが少ない所で倒れたので、私に気付いて叫ぶ人がいない。
どうしましょうか…頭の中で色々考えるがなにも浮かばない。
もう潮時なんでしょうか…

そんな事を考えていたら、何処からか足音が聞こえてきた。
足音は私の前までくると、立ち止まる。

「まったく…君には学習能力というものがないのかい?」

「…」

声のでない私は黙秘権を使う事にした。

「空腹に耐えきれずこんな所で倒れて、しかも通行人には叫ばれるとか、もうこれ何回目?絶対2桁はいってるよね」

そう言いながら体の動かない私の頭を、彼は撫でる。

「…」

そしてひとしきりに撫でた彼は笑顔で言うのです。

「本当、相変わらず馬鹿だよね椎奈って」

馬鹿で結構ですよ、折原くん。


 

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