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□ここに居れば?
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「…美味しいです」

「どういたしまして。にしても家に着いた途端、気絶したのには吃驚したよ」

結局、あの後引きづられるように折原くんの家に連れて来られた私は、やっとご飯が食べれると思ったら、何だか体に力が抜けてしまった。
成程、気絶する時ってこんな感じなんですね。勉強になります。
折原くん特製オムライスを食べながらボーっとそんな事を考えていたら、頭にポンと軽くチョップされた。

「痛いです、折原くん」

私が自分の頭を擦ると

「大げさだなぁ、軽く叩いただけなのにさ」

「私は普通の人より傷つきやすいんです。心身ともに」

「ふーん…ってそうじゃなくて」

「なんです?」

残り僅かのオムライスをかき集めながら聞くと

「どうしてあんなになっても何も食べなかったの?」

折原くん、目が笑っていません。怖い。

「…食材が底を尽きたんです」

「椎奈さ、自分一人だけで生活できるみたいな事言ってなかったけ?」

はい、言いました。

「昔の出来事をいつまでもネチネチ言う男は嫌われますよ」

「昔っていうほど前の出来事じゃないと思うけど」

はい、そうです。
ていうか折原くんも分かってるならきかなきゃいいのに。だから平和島くんにノミ蟲とか言われるんですよ。

「ご飯作らせといて人をノミ蟲呼ばわりとは、椎奈は失礼だね」

わー、この人心よんでますよ。
しかもノミ蟲呼ばわりしてるのは平和島くんだけですよ。私はただ、平和島くんが折原くんを…あーもういいや。面倒ですし。

最後の一口を口に運び、飲み込む。

「御馳走様です」

「ん、お粗末さまでした」

とりあえず感謝の印として、食器を片づけようと席を立ち、キッチンへと向かう。

部屋に変な沈黙が流れる。

というか私、折原くんに謝りに来たのに気絶して、ご飯を御馳走になって、挙句の果てに失礼な態度をとってしまったんですけど!?

食器を洗いながらチラっと折原くんを見てみる…綺麗な顔ですな。って、違う違う!
とにかく謝ろう。そうしないと今後の食費&生活費が…

「お、おしはらくんっ!!!」

「誰それ」

か、噛んだーーー!!!
折原くんすごく変な顔してるーーー!!!

「じゃ、じゃなくて!折原くん!!」

「自分で間違えたんじゃん…。で、何?」

わーわー、凄く緊張してきました…!!
何気、折原くんに謝るの初めてだし。
いつもは何だかんだで折原くんが折れてくれるますし…は!折原くんだけに折れる!!
じゃなくてじゃなくて!!

「椎奈!!泡!」

「へっ!?」

「洋服!泡だらけだから!!」

とっさに洋服をみると、そこには泡だらけの服があった。

「ど、どうしましょう!?」

「落ち着け!兎に角、一旦食器洗うのを止め…」

「食器をおくんですね!?」

「そう。って!そこで手を離すな!!」

ガッシャン!!


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