スマイルプリキュア&時を超える桃太郎
□俺、参上!!(前編)
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『それ』は異端だった。
使命なんざ知らない。
忠誠?クソくらえだ。
ただ、戦いたい。とにかくド派手に暴れ回りたい。
仲間に付いて行くと決めたその理由も、誰に咎められることなく暴れられるからに過ぎなかった。
だから目的の『地球』に辿り着いた彼は、何も考えずその少女に取り憑いた。
適当に契約を果たして、後は好き勝手に暴れてやろう。
その程度の感覚でしかなかった。
良々はいつの間にか人気のない場所へ到着していた。
そこはもう使われてない廃工場。中には錆びたドラム缶や一斗缶が積まれて、訳のわからない機材も放置してあった。
良々
「はあ…、一体何だったの?さっきの…」
さっき下品な言葉遣いになり、自分が自分じゃないそんな現象に戸惑いを隠せないでいた。
良々
「やっぱり、ついてないのかな…、私…」
???
『いや…“憑いてる”ぜ』
良々はギョッとした。一瞬空耳かと思ったが、それは否定された。
──良々の体からこぼれ落ちる砂によって。
良々
「なっ、何…?これ…、一体何なの?」
その砂は次第に集まり、上半身と下半身が上下逆の『何か』になった。
良々
「う、うわぁぁぁぁぁ…!!」
良々は腰を抜かし、後ずさる。
???
『どうしてお前、あの時俺を止められたんだ?――――妙な奴だな』
良々は訳がわからなくなってきた。
こいつは一体何?
さっき私の身体を動かして、目尻を吊り上げて、目を血走らせて、周囲のすべてを威嚇してたのはこいつだったの??
???
『まあ、いいや…。今から決まり事言うからな。一度しかいわねぇからよく聞けよ』
“それ”は面倒臭そうに呟くと、こう言った。
???
『えーと、…お前の望みを言え。どんな望みも叶えてやろう。お前の支払う代償はたった一つ──』
良々
「の、望み?」
良々は怪訝そうに聞き返す。
???
『そうだ。──望みだ。早く言え、叶えてやる』
良々は不思議に思いながらも願い事を口にしようとした。
良々
「私の望みは…──「待って!!」ッ!?」
突如、その場に制止の声が響いた。見るとそこには今朝ぶつかった少女・ハナが息を切らせながら、こっちに歩み寄ってきた。
良々
「あなたは…今朝の」
???
『何だ、テメェ!!契約の最中に邪魔すんじゃねぇ!!』
ハナは“それ”を無視し、息を整え良々に話し掛ける。
ハナ
「今朝から…もしかしてと思ったんだ…、さっきので確信した…。君が…『特異点』だって事が…」
良々
「え?特異──」
???
『“特異点”っ!!?マジかよ!!だああああああ、もう最悪じゃねぇかぁぁぁっ!!!』
ハナ
「うるさい!!」
訳がわからない良々。
良々が“特異点”と知って嘆く“何か”。
騒ぐ“何か”を踏み潰すハナ。
そしてハナはまるで希望の光を見るかの様な目で良々を見る。
ハナ
「見つけた…。君なら…“デンオウ”になれる」
良々
「え?で、でんおう??」
ハナ
「もうすぐ闇の世界から侵略者が来る!時の運行を守らないと……!」
話は良々を置いてどんどん先へ進んでいく。