XXX
□おとなのしるし
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「な、何してるんやっ」
わかしは体中を掻き、毛を毟っていた。
俺は急いでその手を掴み、それをやめさせる。
「やだやだっ!かゆい、かゆいぃっ」
「痒い?」
「あ、忍足さ‥」
我に戻ったわかしは暴れるのをやめる。
とろんととろけた瞳は熱を持ち潤んでいた。
「どうしたん?」
「え・えっと、体中かゆくて‥ノミが入ったんだと」
「ノミ?」
まめに毛の手入れはしてきたつもりなのに‥わかしを抱っこし、ソファに座る。
「ほな、俺が取ったるから」
「はい‥すみません」
おとなしく膝の上に乗ったわかしの体からノミを見つけようとする‥が。
「ひゃあんっ」
「!?」
優しく体を触っただけなのに、彼は悲鳴を上げ、ごろごろと膝の上を転がる。
「すまん、痛かったか?」
「ち‥ちがう…お願いします」
わかしは恥ずかしそうに頬を赤らめて頷く。
俺はもう一度彼に触れる。
「あん‥っ」
またもや聞こえる甘さを含んだ悲鳴に俺の手は止まった。
「忍足さん‥かゆいです…むずむずするぅ‥」
はあはあと荒い息を吐き、太腿を擦り合わせてもじもじと下半身を揺らす。頬は赤らみ、目はうるうると潤んでいて…――
これはただごとではないと思い、ケータイである男に電話を掛けた。