続編1
□迷子
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ドンッ
「いっ…!」
痛い、です。
おしりから落ちましたよ。痛い、非常に痛いです。上から見事にドスンとお尻から落ちるなんて小学生以来じゃないでしょうか。
私は痛むお尻をさすりながら、グルリと周りを見渡します。
…ふむ、森ですね。
目に入るものといったら木、木、木…見るからに、というかそれ以外に考えられない場所に落ちてしまったらしい、です。
「参りましたね…」
方向がわからない。ましてやここが何処の国なのかさえ把握できません。
甲斐の国であればこんなに好都合な話はありませんが、あの自称神様がそんな優しいサービスをしてくださるとも思えませんし…。
それから、こんなところで一人。
私の格好は言うまでもなく先程着ていた部屋着のまま。青のパーカーにジーンズ。
私にとって当たり前のそれも、この時代の人間からすればそれは異端であるはず。
歩く不審者状態です。
役所に引っ張っていかれるか、はたまたそのまま切り殺されるか。
殺されなくても、盗人に身ぐるみ剥がれて犯されるとか…はあ、考えれば考えるほど憂鬱です。
それにここは森、人
だけでなく獣だっているはずです。
すーぱー現代っ子の私(しかも丸腰)が対抗できるわけがありません。
喰われることも想定できます。
つまり、私は今そこそこの危機に陥っているというわけで。
願わくば、何者にも出会わず無事にここから抜け出したい。
ガサガサ
「……」
願ったその瞬間にこれですか、あんまりですね。
最後に乞います。
悪いひとじゃありませんように。
「おい、こんなところにガキがいる」
「おおっ!しかも女じゃねえか」
木々の間から現れたのは男性がお二人。見るからに人相の悪い人達。
神様、あなたを恨んでもいいでしょうか?
「おい女ぁ、変な着物着てるが南蛮のモンかあ?」
「……」
「だんまりか」
「んなもん剥いじまえば一緒だろうが!」
男の方が私の肩をグッと掴み、乱暴に地面に突き飛ばします。
力に弾かれて勢いよく地に転がり、逃げる隙も与えないと言わんばかりにもう一人の男が私に覆い被さりました。