続編1
□契約
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「く、『喰う』…?」
『そ!喰うの、バリバリと!』
なんて恐ろしいことを楽しげに言うのですかこの子は。デンジャラスボーイすぎます。
『だぁって仕方ないじゃん。僕も好き好んで君みたいな人間を食べたいわけじゃないよ。できることならもっと愛想よくて可愛い娘がいいもん』
「無愛想で不細工で申し訳ないです」
「あはは!安心してよ、君不細工ではないし」
それに、その表情って《あの事故》が原因でしょう?
「っ!」
『「なんでそれを?」って?あははは、だーから神様はなんでもお見通しなんだって!君のことなんて全部わかっちゃうんだよ』
「…あなたは……」
苦手、です。
私がぐぅと唸るような声音で告げると、背中でくつくつと笑う声が聞こえて。嘲笑うような、憐れんだような、そんな声。
相手は子供のような無邪気さを持っているにも関わらず、圧倒的な力量差を感じます。
むしろ、その無邪気さが今は恐ろしい。
『ねー、どうすんの?契約、するの?しないの?』
「……」
『…なんか不満そうだね。なにが嫌なの?君の願いを叶えられるの、きっと
僕だけだよ?』
「……私、は。佐助さんと…約束したんです」
奇跡を信じると。また会える、奇跡を。
光のなかで誓ったそれは、何よりも固く結ばれた私達の絆。かけがえのない、奇跡をつなぐ糸。
『奇跡、ねえ?』
「笑うなら、笑ってくださって結構です」
『んー、まあ奇跡信じるのは悪いことじゃないと思うよ?実際にこの世には奇跡とかいろいろあるわけだし。ほら、《神頼み》も奇跡信じるようなもんでしょ?いやちょっと違うかな…まあいいや、そんでその頼みに耳を傾けることもあるわけだし、ぶっちゃけ僕の機嫌がすこぶる良い時とかそんなんだけど。…つまりさ、神様の気まぐれが奇跡をみたいなもんだけど無くは無いってこと、多分!』
だから笑ったりしないよ
背中から少し予想外の返事が返ってきたことに内心驚きました。指差して笑われると思っていたので、拍子抜けです。
『でも君ね、そんないつ起こるかもわかんない奇跡待ってたら後悔すると思うよ?』
「…どういう意味ですか」
『たしかに奇跡は起こらないとも言えない。けど、そんな時間に身を任せて悠長に待ってる間に君の会いたい彼が大変なことになっちゃうってこと』
「え?」
『死ぬよ、彼』
おっしゃってる意味が、わかりません。